進撃の巨人を読み解く

進撃の巨人はSFを下敷きにしたヒューマンドラマだ・・と思う

090 最新話からの考察 125話 重点チェック


みなさんこんにちは。

 

125話では、前話から始まった展開の足場が着々と、そして静かに固められていくかのようでした。嵐の前の静けさでしょうか。今回は主に情報の整理だけ・・のつもりが思ったよりぐだぐだと長い雑文になってしまいましたが、悪しからず。

 

 

 

 

 


この記事は最新話である125話までのネタバレを含んでおります。さらに登場人物や現象についての言及などなど、あなたの読みたくないものが含まれている可能性があります。また、単なる個人による考察であり、これを読む読まないはあなた自身に委ねられています。その点を踏まえて、自己責任にて悔いのないご選択をしていただけますよう切にお願い申し上げます。あなたの選択とその結果に対して、当方は一切の責を負うものではありません。

※画像は全て 「進撃の巨人(諌山創著 講談社刊)」 より引用させていただき、個別に巻・話を表示しております。注記の無いものは全て別冊少年マガジン2020年2月号・125話からのものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


[125話 重点チェック]

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各別に情報の整理をしていきたいと思います。

 

 

〈ストヘス区〉

 

まずはストヘス区から。

 

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-あぁ…私の家が…
-エレン・イェーガーのせいで…

さすがにこの状況でダジャレではないでしょうが、かつての場面を思い出しました(20巻79話)

 

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-エレンの家ぇぇがあああああ

当時も決して生ぬるい状況ではありませんでしたが、そんな中でコニーの冗談を挿し込んだ意味がはっきりしてきた気がします。もちろんコニーを筆頭にみんなの気が動転しているといった描写でもあるのは言うまでもないのですが、(31巻125話、25巻102話)

 

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このあたりも重ねてきている感じがあります。

ストヘス区でもレベリオでも、エレンの行為によって酷い目にあった人々がいるわけです。で、その酷いことの大きな一つとして、家を追われた、すなわちホームフィールドを奪われたというのがあるかと思います。思い返せば物語の冒頭でエレンが巨人に敵意を燃やしたのもホームが奪われたからです。母という存在も広義のホームと言って差し支えないかと思います。そして戦士隊は再びエレンのホームを燃やしました(20巻79話)

 

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-オレの街に
-火をつけやがった

生きる、ということに主眼を置けば、何よりの基盤となるものがホームです。人々は住処を奪われることに最大の脅威を感じ、最大限の抵抗をします。もっと掘り下げれば、敵と味方というのは様々な規模のホームのぶつかり合いであるとも言えるでしょう。そしてホームの収奪が遺恨を生むのです。おそらくあの場面でのコニーのギャグはそれを改めて強調しており、また今回はそこに遺恨が生じたと捉えることができるように思います。

 

125話に話を戻しますが、そんな中にあってもこういった考え方をする人々も出てきます。

 

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-我々エルディア帝国は尊い犠牲の下 生き残った!!
-犠牲無くして勝利は無い!!

大怪我を負った人が声高に主張しているあたりは、ただの無責任な野次馬ではないといった感じがありますね。彼はそんな目にあってなお、自らが受けた被害を尊い犠牲として受け入れようとしているのです。


これぞまさに全体の、”みんなのため”の理論だと思います。公の利益のためであれば、その一部の犠牲は呑み込む、もしくは進んで犠牲になる”べき”であると。

 

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-死んだ甲斐があったな みんな!!

もちろんこれは、かつてのリコのセリフと重ねられているのでしょう(4巻14話)

 

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-皆……
-死んだ甲斐があったな…

でも、全く同じセリフであるにも関わらず印象が真逆ではないでしょうか。リコのセリフに感動した方も多いのではないかと思います。私もその一人です。今回のは受け入れ難いというか、少なくともモヤっとした感覚を覚えやすいのではないかと想像します。

 


とはいっても、そこにはなんの違いもありません。

 


たぶんこの印象の違いはホームを脅かされる逼迫度への認識のズレではないかと思います。

たらればですけど、こう考えてみてください。全世界の軍隊がウォールマリアを取り囲み、今まさにたくさんの砲弾を打ち込んできているような状況だったとします。そこでエレンが壁の巨人を起動して同じことが起こったとしたら、どうでしょうか。たぶん違和感を覚えないか、あるいは”必要な犠牲”として受け入れやすく感じるような気がします。

思うにこれは「心臓を捧げよ」という言葉の種明かしなんだろうと思います。それは一見美しいような、もしくは鼓舞されるような感じを受ける言葉でしたが、その実は単なる全体の理屈です。全体が生きるためにその一部の個人が犠牲になることを、飾った言葉でやんわりと強いているに過ぎません。今でもあちらこちらで、決め台詞かなんかのように「心臓を捧げよ!」って文字が踊っているのを見かけますが、こうして考えてみるとなかなかに皮肉のような話ですね。知らない方がいいことも、あるのかもしれませんが。

 

 


〈フロック・フォルスター〉

 

そこで面白いのは、実際に心臓を捧げた経験のある人が個を尊ぶほうへ辿り着いていることです。まるで交錯していくかのように。

 

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-でも…誇りに死ぬことはない
-いいじゃないか屈したって…
-こんな死に方するより
-生きてた方が…

街の人々と、”尊い犠牲”になるはずが死に損なった人、やはりその間にも認識のズレが存在するわけです。実際、フロックだけではありません。あの正義感と自己犠牲精神の固まりだったマルロだって、最後は全体なんかより自分自身が生きるほうを選択したいと思っていました(20巻80話)

 

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-わからない
-何で 俺は…
-今頃――

”なんとかは死ななきゃ治らない”って言葉は、案外ものすごく真理を突いているのかもしれません。死に直面して初めて分かること。まぁ当たり前と言えば当たり前の話で、自身に危険が無ければ自分の所属する集団の安全を考えるし、命の危機が眼前に差し迫っていれば集団がどうとか言ってる場合ではありません。今回の街の人は怪我をしたとはいえ、すでに生き永らえることを得ています。その傍らで実際に死んだ人が、死に至る寸前に何を思ったかと考えてみれば、”これは死に甲斐がある”ではないことはおそらく間違いないでしょう。されど死人に口なし、意味を与えるのは生者なんです。

 

だからというわけでもないでしょうが、

 

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-…とにかく地下室だ!!
-拘束しないと街がまた…!!

甲斐ある死を求められたフロックとは対照的に、いまやヒッチはえらく正義感のある兵士になりました。誇り高く死んだマルロに触発された部分もあるのかもしれません。彼女なりに、マルロの死に意味を与えたのでしょう。人々の間で”尊い”思想が受け継がれていく仕組みが、垣間見えるような気がします。

 

そんなこんなを考えていると、ジークが憤るのもむべなるかな、という感じですね(20巻80話)

 

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-どうせ誇り高き死がどうとか言い出すぞ

 

 

 

そういえば、集団の中で認められることを追い求め、やがて自らが特別でないことに気付かされたあの人も、個が生きることを大事にするという境地にたどり着いたようです。

 

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-せいぜいお前達が守れるものは自分の身くらいだ

とても素晴らしい教えだと思います。とはいえ若い109期生たちはすぐには理解できないかもしれませんが、それも仕方のないことです。なにせ全体思想の言葉は美しく響きますから。

 

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-何があっても俺達が教官を守ります!!

熱いセリフです。自分たちを守ってくれた恩に報いるため、今度は自分たちが死んでも守る。一人はみんなのために、今度はみんなが一人のために。凡百の物語ならクライマックスの感動的な場面で放たれるようなセリフです。ああ美しい。

 


でも本当の恩返しは、キースが言っている通りせっかく救った命を投げ出さないこと、彼らが生き抜いてくれることだろうと思います。

 

 


そんなことはさておき・・

 

 


〈アニ・レオンハート/ヒッチ・ドリス〉

 

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-父の元へ帰るためなら
-また同じことをやる

アニの考え方はエレンと同じですね。相手は同じ人間で、その人にも大事な人や物があることも分かっているけれど、自分自身が大事なものを守るためには戦ってでもそれを勝ち取る。ヒッチもそのへんは普通の感覚として理解できるのでしょう。ここでも大事なマルロを失ったという経験が生きているかもしれません。むしろ両極を見ているから一番バランスが良いのかもしれないですね。悪い意味ではなく中庸であり、普通であるといった感じでしょうか。そして中庸はえてして両極に振り回されるものです。

 

今回フロックがイェレナと重ねられてましたが(31巻125話、27巻110話)

 

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この二人はやってることは同じなんですけど、そこに至る思想は異なっています。フロックは本人の言葉にあったように、自分の命を大事にすればいいじゃないかといった感じ。対してイェレナは自分たちのやっていることはみんなのためになるという信念の下に動いてました。個と全体で対極なんですが、結局やってることは何も変わらないってのは面白いところです。個を重視すれば、相容れない個を叩きます。全体を重視しても、全体に背く者を排除します。そしていつも迷惑を被るのは、その両極でない中庸になるわけですね。

 


話を戻します。

 

 

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-そっか
-それが聞けてよかった…

アニの言ったことはショッキングなセリフではありますが、言わんとすることは理解できるのでしょう。むしろヒッチにしてみれば、アニの言葉に嘘がないことを確信できたと考えられます。口先だけで「死んで償いたい」とか「もう二度と繰り返さない」なんてもっともらしいことを言われる方がよほど信用ならないのは世の常。

 


あと、アニ父が実父ではなかったことが明らかになりました。少しライナーとかぶるような来歴ですね。でもかぶるようでそうでもなく、どちらかというと対照的になっている感じでしょうか。血の繋がりよりもなんとやら。

以前グリシャとエレン、ジークの関係について書きましたが、同じ血を引く二人が個と全体の両極端に振れました。つまり血じゃないんだよってことです。それと同様にアニ父はアニという個人に目を向けてくれたので、やっぱりアニは個を大切にするような考え方になりました。カリナはライナー個人を見ませんでしたので、ライナーはジークと同じく”みんなのために”無理してしまったんですね。その実は本人も言っていた通り、認められたくて仕方が無かったと(25巻100話)

 

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-俺は英雄になりたかった…!!

その結果消えたくなったというところまでジークと全く同じです。じゃあそこでレオンハート家の血が繋がっていないということは、繋がっているブラウン家との対比になり、個と全体の思想の”継承”は血によるものではなく、親の考え方や行いによってなされたということになるわけです。

 

だからなんなのかって?

 

つまり森を出るには親や大人たちの考え方や言動が重要になるということだと思います。もちろん親も大人も子供たちが成長してなるものですから、それこそ全ての人々の、ひとりひとりの行動や考え方が大事なんだってことに繋がってくるんだと思います。クルーガーが「愛」を語ってたのとも繋がります。付け加えて上記の”継承”が普遍的なものであるとするなら、誰かが「変えよう」という明確な意思を持って、それが拡がっていかなければ、絶対に変わることはないということも言えるかもしれません。だからいつの間にか繰り返すんだと。

 


ところで今回のアニの来歴は、アニに王家の遠縁みたいな血が入ってる可能性を補強する材料になるかもしれません。もちろんあくまで可能性の話で、無垢巨人を少し動かせるのが女型の特性ということであればそれまでなんですが。

というのも、ブラウン家のケースがあるので一概には言えないという前提ではありますが、マーレ人の女性に近づき、関係を持つことがしやすいのは、どんな人だろうと考えてしまうのです。どちらかといえば収容区のエルディア人ではなく、マーレ人になりすましたエルディア人ではないでしょうか。じゃあマーレ人になりすますエルディア人ってどんな人たちだったっけな、と。秘密裡に王家の血を繋ぐ方法としても、決して悪くない感じはします。まぁなんか陰謀論っぽくなってきたので、あくまで小さな可能性ということで。

 

 

 

〈アルミン・アルレルト〉

 

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個人的には「やっと言えたね」みたいな感じがあるのですが、ずっとずっと心の奥底で抱えていた違和感というか不満のようなものが、堰を切ったようにあふれ出してきたように思います。エレンは味方であるはずだ、エレンをどうにかできるはずだと思いたくて仕方が無かった気持ちが、それを全否定するかのような度重なる出来事によって決壊してしまったのかなと。そこに便乗して、ミカサに対してうっすらと思っていたであろう不満を畳みかけてしまうあたりが人間くさくて良いなぁと思います。むしろ今までが”良い子”をしすぎていたんだろうと。アルミンが成長する上でひとつのブレイクスルーになるかもしれません。

 

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ミカサへの不満に垣間見えるのは、自分の状態が良い時は頼られると自己承認ができて都合が良いのですが、余裕が無い時はそれがいちいちイラッとさせられるみたいな感じ、つまり極度の余裕の無さです。アルミンも本当はエレンのことが気になって仕方なくて、でも自分とその周囲のことだけを考えたくてもそうはできない性分なんでしょう。常に自分を殺すことが身についていて、できれば言いたくないことを自らコニーに言う決心をし、できれば自分では殺したくないピクシス司令にとどめを刺し、どうしても全体のあれこれを考えてしまいます。

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でもミカサはやっぱり自分の大事な事柄ばかりが最優先で、

 

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だから分かり合えない。気持ちは分かったとしてもやっぱり分かり合えない。

 

そして考えなきゃいけないことが多すぎてパンク寸前の彼は、誰かとの比較による自己否定を曝け出します。

 

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-生き返るべきだったのは
-僕じゃなかった

「白夜」はずっと続いていたわけです。

 

アルミンの視点では「白夜」の時の決断、個を優先させたあの決断は間違いでした。やはり全体を考えた上での選択をするべきだったということです。であればすでに本人も言っている通り、コニ母を生かす選択はあり得ずファルコ一択ということになります。その選択自体は別にいいのですが、一つ問題が残ると思います。

「僕が選ばれるべきではなかった」という彼の気持ちがそのまま宙ぶらりんになってしまうんです。

それを考慮すると、アルミンがあの選択の本当の意味についてもっともっと考える必要があると思うんですが、いかんせんコニ母では難しそうな気がします。なぜなら、おそらくアルミンも想定していると思いますが、コニ母は選ばれなくても死にはしないんです。コニ母とファルコの二択でファルコを選ぶ場合って、実は究極の命の選択でもなんでもなくただの現状維持なんです。今までと同じ「コニ母を元に戻す方法を見つけようね」って状態に戻るだけ。選択の意味うんぬんではなく、いかにコニーを説得するかみたいな話になってしまうんですね。あれ?これって全然「白夜」じゃないな、おかしいな・・

 

はてさて、どう転んでいくんでしょうか。

 


〈コニー・スプリンガー〉

 

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しかも、という話になるんですけど、相手方のコニーはすでに本人の中で逡巡が始まっています。ファルコが目覚めちゃってるのもタチが悪い。ファルコは普通にいい子ですからね。


コニーが兵士になったのは、村のみんなを見返すため、両親やみんなに認められたかったからでした。そんなコニーを、コニ母は「みんなを守る兵士になってほしい」という想いと共に送り出します。

 

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-みんなを守る立派な兵士になっておくれ

だから兵士としてみんなを守るのは当たり前のことです。

 

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-俺は兵士だからそのくらいのことやって当然だ

 

自分は大事な母や家族の想いを受けて兵士になりました。その大事な母もみんなを守るような兵士になることを望んでくれました。だから大事なみんなを守ります。そして今、大事なみんなの中でも特に大事な母を人間に戻したいです。

 

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-もう少しだけ待っててくれ 母ちゃん…
-俺は兵士になって…

-そして…

 

そして・・母を取り戻すために、子供を殺します。

 

自分は大事なみんなを守る。その中でも特に大事な母を守るために、”特に”ではない子供すなわち”特に”ではないみんなを殺そうとしています。

母はみんなを守ってほしいと思っています。

自分もみんなを守りたいし、その中でも特に・・(以下繰り返し)


どちらを選ぶのもわりと地獄かもしれません。コニーかわいそう。

 

 

 

〈ファルコ・グライス〉

 

今のところ余談ですけど、ファルコは物覚えがいいですね。

 

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-オレは…どこかで見たことある気がするんだけど
-コニーさんがオレを知らないなら…
-気のせいか…

これはおそらく飛行船の時の記憶がなんとなく引っかかってるんでしょうけど、ニコロの時も似たようなことがありました(28巻111話)

 

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-何か引っ掛かってた気がするけど…

過去の情報が頭の中でしっかりと繋がりを持ってくるんですね。過去の情報が。

 


それはさておき、記憶の欠落があったようなのでしっかりと確認しておきたいと思います。

 

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-兄貴とガビに合流した所までは覚えてる…


つまり現時点でファルコは、

・コルトが死んだことを知らない
・自分が顎を継承したことを知らない

ということになります。作者おにちくすぎ。ファルコかわいそう。


いや、端折らずちゃんと整理しておきましょう・・

まず、ファルコは自分が食われる対象であることを全く理解していない状態ということになります。そしてそれをこれから知ることになるでしょう。さらに自分がガリアードさんを食ったという事実も知らず、それをこれから彼の死を知るのと同時に気付くことになります。さらにさらに現在のめちゃくちゃな状況も知らないわけですから、両親に差し迫る危機を、それから兄が死んだことを、これから改めて知るわけです。

 

控えめに言って地獄です。やっぱりファルコかわいそう。

 

あともうひとつ、たぶん告白したことも抜け落ちてると思われますが、ここは楽しみかもしれません。

 

 


〈ハンジ・ゾエとゆかいな仲間たち〉

 

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一番ゆかいなのはハンジさんなんですが、それはともかく。

 

ハンジたちは撤退部隊あたりに保護されて、お互いが同じ血の通った人間だと理解してマーレ軍と繋がっていくのかななんて妄想しておりましたが、まさかの元帥に直でした。

ハンジと言えばもちろん、不器用な人として描かれてきましたから、今回の大仰な言い方もその表れなんでしょう。基本的に思い立ったら即行動、ド直球ストレートな言動をする人だと思いますので、もってまわるような言い方が苦手なんだと思います(27巻107話)

 

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-エレンのエッチ!!
-未だに反抗期かよバカ!!
-…若者!!

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-何で私なんか団長にしたんだよ…

実際は上手く対話にならず引いたわけですが、そのごまかし方もなんかズレてる感じでした。それ以前にも今回と似たようなことがありましたが、(26巻106話)

 

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-ちなみにお一足お先にお越しのお連れのお客様とは!!
-既に仲良しでーす!!

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-お前の三文芝居に付き合う気はねぇってよ

あまりにわざとらしすぎて兵長にも三文芝居と揶揄される始末。とはいえこの3年前の出来事を参照すれば、今回の目的もおそらく情報収集を兼ねながら話し合い、分かり合うことだろうと推測できます。和平を模索してきたハンジにしてみれば、願ってもない機会のはずです。3年前だってわざわざリスクを負って出ていかなくても巨人と挟み撃ちで奇襲すれば普通に殲滅できたのに、話をしようとしたわけですから。

 

マガトとピークちゃんから見れば、彼らは撤退船団が行ってしまったことで取り残された形になっており、本人たちの言葉通り手詰まりであがくしかない状態です。

 

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-アレを止める策は…何かお有りでしょうか?
-…無い

車力がいますのでちょっとした襲撃でおいそれとやられることはないでしょうが、進退窮まっているのは間違いないでしょう。彼らにとっても渡りに船のはずです。そこで現状の打開策ということで思い当たったのですが、マガトにはこんな認識があるはずです(23巻93話)

 

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-そして王家の伝承のみの存在と思われていた一族

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-巨人化学の副産物 アッカーマン一族と思わしき存在が
-少なくとも二人
-…正直 奴にはもう会いたくありません

マガトにとって死に損ないさんは、伝説になってしまうような、あのジークでさえ「二度と会いたくない」とこぼしてしまうような存在だという認識の可能性があります。であればそこに光明を見出すことも充分に考え得るのではないかと思います。未だ兵長の容態がはっきり分からないのでアレですが、仮に彼らがそんな打開策を企図したとして、その時もし兵長に意識がないなどがあれば、マガトたちには兵長を回復するために運ぶという動機が生まれます。

 

つまり、ハンジは超高速の移動手段を手に入れることになるかもしれないということです。

 


仮定の話を重ねるようで恐縮ですが、前回の「白夜」の際、車力が瀕死のライナーを奪い去ったことで究極の選択が迫られました。もしもライナーが手中にあったなら、脊髄液を半々で試してみる等の可能性が生まれていたかもしれません(31巻125話、21巻83話)

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今回もしも、もしもですが車力が兵長を運ぶようなことがあれば、先述した現状維持かどうかみたいなところに、究極の選択をもたらすことになるかもしれません

 

 

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それぞれの馬(と車力?)が、それぞれの思惑を持って駆けていきます。果たしてそれぞれの到着地がどこになるのか、そして車力は再び究極の選択を突きつけるのか、来月を楽しみに待ちたいと思います。

 

 

 

 

 

-追記-

 

ガビちゃん忘れてた笑

途中に挿し込んでもなんか浮きそうなので、ここに。

 

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-私の本当の名前…
-ガビって言うの

ガビも「やっと言えたね」って感じですね(10巻41話)

 

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-私の名前…
-ヒストリアって言うの…

偽名という、かりそめの自分を脱ぎ捨て本来の自分に、立ち返り、目を向け、耳を傾ける。

 

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カヤはよくできた子すぎます。彼女にとっては名前なんてどうでもいいのでしょう。ガビでもミアでも、呼称なんてどうでもよくてただその人そのものを見ている、ということじゃないかと思います。だから呼び方はなんかしっくりする方でいいや、みたいな。そんなことを言える仲ってのもいいし、お別れはちゃんと本当の名前で呼ぶところまで、ちょっとできすぎかと存じます。

 

-追記おわり-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以下、与太話。

ところでガビは、進撃気質があるのはずっとそうなんですけど、それ以上にいろんな人と同じような経験を早回しで得ていて、全てを糧にしていってる感じがします。なんというか完璧な人間に近づいていってるとでもいうような。そこにはなんとなく「道」の導きみたいなものも感じるので、じゃあ全ての知性巨人を合わせた完全な巨人みたいなのも考えるんですけど、ファルコが彼女の胃袋に入るイメージがどうにも湧いてこないんですね。

で、普通に考えれば進撃を継承するのが描写的には合ってるんですけど、なんかちょっと違う感じが拭い去れなくて。曖昧な感じですけど、道を閉ざすかなんかした後に、今までの全てのユミルの民を統合したような存在(と言っても普通の一人の人間)みたいな感じになるのかなーとか妄想してます。新人類みたいな。そしてその新人類が現在の私たちに繋がっていくとか。まぁ正直全然分かりませんけど、ガビちゃんに幸あれ。

以上、与太話。

 

 

 

本日もご覧いただきありがとうございました。


written: 11th Jan 2020
updated: none