進撃の巨人を読み解く

進撃の巨人はSFを下敷きにしたヒューマンドラマだ・・と思う

102 最新話からの考察 128話① 「正義」の黄昏


みなさんこんにちは。

 


ここへきての容赦ない展開ごっつぁんでした。ダズとサムエルが出てきた時はいや~な感じがしたんですけども、まさかあれほどとは思いませんでした。ともかく今回はシンプルに要点ひとつだけです。

 

 

 

 

 

この記事は最新話である128話までのネタバレを含んでおります。さらに登場人物や現象についての言及などなど、あなたの読みたくないものが含まれている可能性があります。また、単なる個人による考察であり、これを読む読まないはあなた自身に委ねられています。その点を踏まえて、自己責任にて悔いのないご選択をしていただけますよう切にお願い申し上げます。あなたの選択とその結果に対して、当方は一切の責を負うものではありません。

※画像は全て 「進撃の巨人(諌山創著 講談社刊)」 より引用させていただき、個別に巻・話を表示しております。注記の無いものは全て別冊少年マガジン2020年5月号・128話からのものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


[「正義」の黄昏]

f:id:shingeki4946:20200412192018p:plain

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰が裏切り者かなんて話をしても意味がないかもしれません。むしろ副題はそういうことを言っているのではないかと思いながらも。

 


現在のエルディア国(=パラディ島側)という視点から言えば、ダズとサムエルが言っていた通りに”英雄”たちは裏切り者です。そしてその英雄さんたちから見れば、暴虐無人な行為を続けるフロックとそれに与するダズやサムエルは裏切り者と言えなくもないでしょう。この構図はアズマビトとフロック並びにイェーガー派の間にも同じことが言えると思います。

それは結局、敵か味方か、どっち側か、というだけのことでしかありません。でも人間の習性として、いったん自分の側だと思い込んでいた相手が自分と異なる側だと感じた時に、「裏切られた」という感情と共に通常よりも割り増した憎悪をたぎらせるようです。事実だけを追えば、自分が勝手に同じだと思い込んで、次にそうでないと思い込んだだけなのに。しょせん人間は自分の都合でしか考えられないし、感情でさえも例に漏れないことがよく分かります。

そりゃあいつまで経っても争いがなくならないわけです。

 

ここまでは当たり前と言えば当たり前のような話なんですが、128話はさらにエグい事実を私たちに突き付けているようです。

 

 


敵だとか味方だとか、どっちの陣営だとかいう視点はいったん脇に置いておきます。

 

 

 


そこで、もっともっと尊くて美しいはずの「仲間」という視点だけで見た場合。

 

 

 

f:id:shingeki4946:20200412192115p:plain
-待てって!!
-落ち着けよ二人共!!

思い入れなどを完全に排して見れば、最初に「仲間」を騙しにかかったのは、つまり仲間を裏切ったのはアルミンとコニーなのは疑いようのない事実です。さらにダズとサムエルはもともと疑いのあった彼らに対しても「仲間だから」ということで話を聞く姿勢を見せていますが、それでもなんとか騙し通そうと一切の真摯な話し合いをするそぶりも見せなかったのはアルミンとコニーです。これが事実。

もちろんアルミンとコニーは現状を打破するためにそうする他なかったのも同じように事実です。でもそれはそれ、これはこれ。いずれにしても、そうせざるを得なかったというのもやっぱり自分たちの都合でしかありませんし、「だから仲間を騙しても良い」というのは理屈が通らないはずです。

 


これが、仲間想いで心優しくて平和を愛する正義の英雄がしたこと、ということなのでしょう。正義だのなんだの言ったとしても、全ては自分の都合に過ぎないということだと思います。今まで長いことかけてやんわりと描かれてきていたとは思いますが、ここにきて「正義」という美しく聞こえる言葉の化けの皮を直接的に剥がしにきた印象があります。正義のために騙す。平和のために殺す。これには私も「正しい」という言葉をうかつに使えなくなってしまいますです。

 

 


そして「自分の都合」という言葉こそ、128話をひとことで言い表すのに一番ふさわしいのではないかと思います。

 

 


アニが前回危惧していた通り、104期とマーレ側の方針の違いがあらわになりました。それを受けて彼女はこんなことをこぼしています。

 

f:id:shingeki4946:20200412192319p:plain

-あんた達ならあの日…
-壁を壊すことを選ばなかっただろうね
-私達と違って…

アニたちは自分たちのため、自分たちの都合で、犠牲になる人があっても壁を壊す道を選びました。でもきっとあんた達ならば自分たちの都合よりもみんなの方を優先するかもしれないと。それを聞いてライナーは気付きます。

 

f:id:shingeki4946:20200412192344p:plain

-やっぱりオレは…
-お前と同じだ

f:id:shingeki4946:20200412192402p:plain

-あれは… そういうことか…

エレンも自分たちが生きるために、自分の都合でレベリオを攻撃しました。その点においてエレンはライナーたちと全く同じことをしています。104期は自分の都合で踏み潰そうとしない点でエレンやライナーと異なります。だからライナーは、自分では「世界を救うため」とか「(世界の)英雄になりたかった」などと理由を付けていたけれども、実のところはただ自分自身のため、自分の都合でしかなかったことに気付いたのでしょう。

そんなライナーから見れば「自分の都合を差し置いても関係ない人を巻き込まないようにすること」こそが104期にとっての「自分の都合」であると見えるでしょうから、こちらの都合に合わせなくていいという感じかと思います。自分たちは自分たちの都合で動くし、お前たちはお前たちの都合で動けと。だからこそ104期は手を出さなくていいと、むしろ手を出すなと言ったのでしょう。アニも同じようなことを言ってますね。前話の時にお話した相手の尊重がここにも表れているように思います。


さらにマガトが後追いします。彼がイェレナに対して急に実力行使を始めたのは、今まさに自国が蹂躙されつつあるからという自分の都合です。だからこそ自分の都合を押し通そうとしたことがガビに土下座までさせてしまったことに思い至り、バツが悪くなったのだと思います。ですのでその振り返った過去に関して104期たちに謝りながら、「正義」という言葉に止めを刺していきます。

 

f:id:shingeki4946:20200412192542p:plain

-軽々しくも正義を語ったことをだ…
-この期に及んでまだ…自らを正当化しようと醜くも足掻いた
-卑劣なマーレそのものでもある自分自身を直視することを恐れたからだ

自分の都合でやっていたに過ぎないのに、それを「正義」というまやかしの言葉で飾ることによって、まるでそれは世界のどこでも絶対的に正しいことであるかのように話を全体化し、行いを正当化していたことに気付いたのでしょう。それを悟ったマガトはエレンの行為に対しても、

 

f:id:shingeki4946:20200412192622p:plain

-愚かな行いから 目を逸らし続ける限り
-地獄は終わらない

決して「悪い」とか「正しくない」という表現は使わずに、ただ「愚かな」行いだとしています。そして、

 

f:id:shingeki4946:20200412192641p:plain

-我々の愚かな行いに…
-今だけ目を瞑ってくれ

エレンはエレンの都合で動いているだけという理解と、それに対する自分たちも自分たちの都合で動いているに過ぎないという理解によって、愚かな行いを止めようとする自分たちの行いも同様に「愚かな」ものだとして全く同列に語っているわけです。

 

正しいとか悪いとかじゃなくて、どちらに非があるとかでもなくて、ただそれぞれの都合がぶつかり合ってるに過ぎないってことなんでしょう。ライナーと全く同じような気付きを得ているわけです。ライナーの気付きとマガトの気付きが同じ背中からの構図になっていることからもそれが分かります。

 

人は得てして「正義」とか「世界のため」といったご大層な名目を掲げて卑劣な行いをします。「正義」という言葉は人々を麻痺させ、「正義」の旗印の下に数々の理不尽な虐殺がなされます。そこに遺恨が生まれ、被害を受けた側は再び「正義」を掲げて報復という名の虐殺をします。これでは争いが無くなるはずもありません。だってそれは「正しい」ことなのだと人々は思いたがって、あるいは思い込んでやっているのですから。戦争の話だと実感が湧かない感じがしますが、SNSなんかの吊し上げとか冤罪事件もこれと同じようなことです。

でも実のところは正義も世界がどうたらも関係無くて、誰もが現在の自分のためにやっているだけです。言ってしまえばその「自分のわがまま」のために全く関係ない人にひどいことをして、自分は「正義」を隠れみのにしてそのひどい行いから目を逸らしているわけです。それをしてたらやっぱり同じことの繰り返し。だからこそ自分が決して「世界」や「正義」のためではなく自分の都合だけで動いてること、相手もまた相手の都合で動いているだろうこと、その理解を持つことで初めて相手の都合に耳を傾けることができるし、まさに今こうして敵同士だった者が互いに分かり合いつつあるじゃないかと。少なくとも我々はもう互いに虐殺しようとは思わないだろうと。だから今だけは、今までの尻ぬぐいで愚かな行為をしなくてはいけないけど見逃してほしい、そしてこれが終わった暁にはこのことを後世に伝えることで一人でも多くの人が「正義」というまやかしから逃れられるようにしよう、ということだと思います。(以前の 050 世界を知らない という記事にも正義とかについて書いています。アニの考え方などなど今回の話と重なる部分も多い記事なのでご興味があれば後でご参照ください。)

 

 


なんかいい感じに相互理解が進んでいるように思います。ただ・・

 

 

 

アルミンはそれに、こう返しています。

 

f:id:shingeki4946:20200412192905p:plain
-…断ります。
-手も汚さず 正しくあろうとするなんて…

 

彼は、正しいか悪いかというところに、いるんです。

 

 

f:id:shingeki4946:20200412192948p:plain

 

え? 

 

私もびっくりしました。まさかあの会話の流れで正義にまつわる言葉が出てくるとは思いませんでした。

 


アルミンは「正しくあろう」としている、ということは、その「正しくある」ためにしたことが仲間を騙すことになります。あ、勘違いのないよう先に言っておきますが、別に非難しようというわけじゃありません。騙すことであれなんであれ、それは目的のために手段を選ばないということであり、とても合理的なやり方だと思います。そもそも彼の作戦が「嘘をついて自分の都合の良いように事を運ぶ」感じなのは今に始まったことではありませんから、そこには驚きもありませんしどちらかと言えば相変わらずだなぁという印象でした。

 

そうそう、たぶん変わってないんです。


「正しくありたい」と思うということは、この世界には絶対的に正しいことと悪いことがあると彼が思っている(思い込んでいる)ということです。絶対的に正しいというのは、もちろん誰にとっても正しいということです。でも実際はそんなものは存在しなくて、それぞれが自分に都合の良いようにあるだけということをマガトが言っているのは前述した通りです。付け加えるならアルミン本人がやっていることも”私たちの目から見れば”絶対的な正義などではなく、彼自身の都合でしかないことは言うまでもないことでしょう。

でもアルミンは、前回のイェレナと同じように自分も他人も一緒くたにして「僕にとっても他のみんなにとっても同じ正しいことがあって、そうあるべきだし、自分はそのように行動している」と思っているようです。

それはつまり、彼は自分が今しようとしていることを「正しいこと」だと思っているんです。もちろんそれは当たり前みたいな話ですが、さらにそれは絶対的に正しいことですので、たとえばダズやサムエルにとっても自分がやっていることが当然正しいと思っているはずなんです。ただダズやサムエルはその正しさをまだ理解していないだけ、みたいな認識だろうと思います。

そういう背景があるからこそ「ほら僕の言った通りだろ?」って、「僕の言うことを正しいと認めているから~」ってセリフが出ていた、ということになるのでしょう。まぁ忌憚なく言えば「自分の正しさの押し売り」とも言えるかもしれません。

 


アルミンが「正しさ」を口にしたセリフの流れだとまるで104期の総意のようにも見えるのですが、少なくともミカサがあの場にいるのはエレンに虐殺をさせたくないからでしょうし、おそらくジャンも正しくあろうとか世界を救おうとは思っていないように思います。アニやライナーは言うに及ばず、それぞれがそれぞれの目的があってあの場に集まっています。でもたぶんアルミンはあの場にいる他のみんなも自分と同じように「正しくあろう」と、「世界を救おう」としていると思っているのでしょう。

実はコニーだけは少しあやしくて少し前に「世界を救う」発言をしています(ミカサの表情が意味深です)(31巻126話)

f:id:shingeki4946:20200412193147p:plain

 

ただ前回イェレナが「世界を救う」ことを揶揄した時に思い当たるような反応をしている描写がありますので(32巻127話)

f:id:shingeki4946:20200412193219p:plain

現状はっきりとは分かりませんが今回吹っ切れたとか葛藤の真っ最中という感じかもしれません。そもそもコニーの本来の目的は明確で「母ちゃんに誇れる兵士」であるために困っている人を助けたいということであって、彼がダズとサムエルを撃ったのもアルミンがまた撃たれそうだったからでしょうし、彼の言う「困っている人」というのはたぶんエレンのことを言ってると思うんですよね。含まれているというか。だとすれば本人が本当の意味でそこに気付くかどうかでしょうか。もしかしたらコニーは間で揺れ動くポジションかもしれませんが。

 

そうやって考えてみると、あの場で「正しくあろう」、すなわち「正義をなそう」とか「世界を救おう」っていうことが明確な目的なのはアルミンだけということになる可能性があります。

 

 


そんなちょっとした認識の違いはどうでもいいとお思いになるかもしれません。

 

 


でもこんなことも考えられるかもしれません。

 

もともとエレンやライナーも敵は悪魔で自分は正義だという観念を持っていました。そして自分の正義を信じて疑わず、人類や世界のために必死で戦っていたわけです。これは現実でもほとんどの人が子供の頃に思い抱く考え方です。他者と関りが出てきた頃に、他者が何を考えているかは直接見ることができないため自分を参考にして似たようなものだろうと推測するからです。自分を相手に投影して同じようなものと感じているということは、自己と他者の境界が曖昧だとも言えます。そんなわけで自分が正しいと思っていることは当然他人にとっても正しい、つまりこの世界には誰にとっても正しいものが存在するとなります。

でもエレンは敵も人間であることを知り、敵も自分なりの正義に従って戦っていただけだということを知りました。それは自分の信じていた正しさが自分においてのみ通用するものだったと知ることでもあり、さらに実際は自他の正しさが異なっていたにも関わらず、同じだと思い込んでいた今までの自分を俯瞰することでもあります。それはつまり他人は違うという事実を突き付けられそれを受け容れたことによって、相手の立場の理解へと繋がり、相手には相手の世界があるのだと尊重することを可能にしているわけです。自己と他者の境界がはっきりしたということでもあります。

前回ジャンとマガトがお互いの正義をぶつけ合って、でもそれはお互いに自分の都合をぶつけ合ってることでしかありませんでした。ただそれがきっかけとなって気付きがあり、相互理解の雰囲気が進みつつあります。しかもそれだけにとどまらず、マガトは世界や自国を脅かしているエレンの立場にさえ理解を示し始めているわけです。

でもアルミンは違うということなんだと思います。アルミンにとってはやっぱり正しいかどうかなんです。

だから今までも、自分が思う正しさと同じ考えならばこっち側(≒正義 ≒味方)だし、違うならあっち側(≒悪 ≒敵)という感じになったりしているのでしょう。そして正しいことというのは彼の中では絶対的なものですから、本当は嫌だとしても、もどす程の感情を抱えながら人を殺したりしても、人を騙したりしても、それが正しいことのために必要なのであればそれが正しい行動なのです。つまりそれを自分の感情に従ってやらなかったりしたら、自分が正しくないということになってしまいます。

だから正しいことをするには、なにかを成し遂げるには、時になにかを捨てる必要があるという考え方に繋がってくるのだと思います。


今回アルミンはベルトルさんのことを思い浮かべていましたが、おそらく彼は(12巻48話)

 

f:id:shingeki4946:20200412193345p:plain

-誰かがやらなくちゃいけないんだよ…
-誰かが…

って考えていたのではないかと思います。彼の矜持とピッタリはまりますし、少し毒のある言い方をすれば「正義」と同様に目を逸らすのに都合がいいからです。もしそうであれば今回のことは彼の考え方をますます補強した感じになりそうです。

 

 

 

さて、前回のミカサや今回のマガトも言っている通り、彼らは「エレンを止めよう」と思っています。要は愚かな行為をやり切ってしまわないように止めようとしている感じではないかと思います。コニーの言葉通り「困っているエレンを助けよう」という感じとも言えます。


もちろんアルミンも「エレンを止めよう」と思っています。でもそれが「正しくない」から止めようと思っているのだとしたら。

 


まずひとつ考えられるのは、彼は他のみんなも全く同じ「正しいこと」をしようとしているという認識ですから、その「正しいこと」へのアプローチの仕方が他の人とズレてしまった場合、冒頭に書いた「裏切られた」とまではいかないでしょうが、反感を覚えるかもしれません。少なくとも自分がその「正しくある」とか「世界を救う」という目的に対して最短のアプローチだと思える方法が思い付いていれば、他の人の意見に耳を傾けない可能性があります。これが、彼の目的が「正しくあること」であるという意味です。

さらにエレンは「自分の都合」でやっているという理解があるはずです。だから仮にアルミンが「世界が~」とか「みんなが~」などと言ったとしても的外れでしかないと思います。逆に、エレンがなにかを言ったとしてもアルミンにとっては自分の考えと異なるなら「正しくない」ことなので、聞く耳を持てないかもしれません。

 

実際そうやって話し合えるかはまだ分かりませんが、いずれにせよアルミンの「話し合い」が通じなければ、そしてエレンがそれでも「正しくない行為」を止めなければ、アルミンにとってエレンは「悪いこと」をしていることになります(8巻31話)

 

 

f:id:shingeki4946:20200412193534p:plain

-アニは僕にとって悪い人になるね…


じゃあ、悪い人が目の前にいたらどうしましょう。

 

 

f:id:shingeki4946:20200412193600p:plain

 

 

そりゃ、「(正しい)誰かがやらなきゃいけない」はずですよね。

 

 

 

 

今回のアルミンの作戦を見てたら、ふとシガンシナ戦を思い出したんです。あの時もアルミンが嘘をつく作戦を思いつき、そして失敗しました。そのすぐ後に、彼の一発逆転の策によって”でっかいやつ”を倒しました。

 

 

 


アルミン覚醒の時は近そうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


-ないしょばなし-

 

私は作者がアルミンをどっちに持っていくのか楽しみにしているところがあるのですが、今回を見た限りでは「変わらない」方へいきそうな感じがしています。もし彼がなにかに気付くとしても、本当に最後の最後になりそうです。

 

やっぱり英雄っていうのは自分の正義を信じて疑わず、一貫してなにかをやり遂げてこそ英雄、といったところでしょうか。

 

みんなが少しずつ変わっていく中でひとりだけ変わらないのがアルミンなのかもしれません。たぶん今回の回想の挟み方はそんなイメージが込められているんじゃないかと思います。ライナーはエレンが19歳の時(ライナーは2個上でしたっけ?)のこと、つまり最近のことで、アルミンは15歳の時のこと。もちろんベルトルさんの記憶は15歳の時しかないってツッコまれればその通りです。ただ隠喩のような感じで、アルミンにとって思い出すような強烈な出来事、つまり彼の”現在の”あり方の土台となっている出来事が15歳の時が主であるって感じでもあるんだろうなと。今回はサムエルも15歳当時の肉のことを語りだし、その場面ではそれ以降いろいろと経験してきたコニーとのギャップを感じさせました。つまり雑な言い方をすればアルミンもサムエルも15歳で止まっている部分がある感じ、まだそこかみたいな。それは経験によるものなので同期とか実年齢とか関係ありません。そこにギャップが生まれます。

ミカサのフラッシュバックも9歳で止まっている部分があるってことでしょう。まぁミカサはアッカーマンだったおかげで、それ以外の部分が小さい頃からやたらと大人びてますから別で考えた方がいいとは思いますが。たぶんそんな感じでアルミンは15歳で止まっている部分があるのだと思います。おそらくそれは可哀そうなことに、受け入れ難いかたちで他者と違うという事実を突き付けられてしまったためです。もちろん海の「夢」のはなし。

だから彼はいまだに他者との違いを受け入れられないまま。だから海以降のアルミンは幼稚に描かれているのだとも思っています。

 

そんなわけで、あまり大きな声では言いにくいのですが、アルミンは今の面子の中では少し浮いてるようにも捉えられます。ので、もしユダがいるとするならばアルミンかもしれないと思っています。おそらく今回の副題とあのセリフがそれを示唆しているかもしれないと思います。

ちなみにユダは裏切り者として有名ですが、一説には最も優秀な使徒でイエスの教えを真に実践できたのはユダだけとも言われます。そしてユダはイエスの教えに従った結果としてイエスを死に追い込み、またイエスはそうなることは分かっていてむしろ喜んで死んだとも言います。

ま、そういうことなのかもしれません。

 

-ないしょばなしおわり-

 

 

 

 

・・あとどうでもいい話ですけど、今回の記事のタイトルは「調査兵マガト」にするかどうか最後まで迷いました。

 

f:id:shingeki4946:20200412193938p:plain

さすがにやめましたけど。ちなみにこれたぶんピークちゃんのお下がりです。ほんとどうでもいいですね。

 

 

 

 

本日もご覧いただきありがとうございました。


written: 12th Apr 2020
updated: none