012 幕間 コニー天才伝説
みなさんこんにちは。
今回は真面目な考察はちょっとひと休み。エイプリルフールということで、バカに関するお話で息ぬきをしたいと思います。物語の考察はしてないので、時間がある時にでも暇つぶしにご利用ください。
一応、ネタバレになるかもですので・・・たぶん
ご了承の上、ご覧ください。
※画像は全て 「進撃の巨人(諌山創著 講談社刊)」 より引用させていただき、個別に巻・話を表示しております。
[コニー天才伝説]
104期の一人である、コニー・スプリンガーといえば自他共に認める天才(”他”はエレンだけですが)であることは広く知られるところですが、実際のところあまり目立った戦果を上げているイメージがありません。
そこで、天才という評価は妥当なのか否か、検証してみたいと思います。
時系列に沿って事実を確認していきましょう。
-訓練兵団時代-
・姿勢制御訓練(4巻16話)
素質:◎
天才ゆえ、感覚だけで可能でした。
・対人格闘訓練(4巻17話)
心の余裕:◎
天才に訓練など必要はなく、遊ぶ余裕さえあります。
・立体起動訓練(4巻18話)
立体起動センス:◎
ジャンが最初に発見した獲物に対し、その類まれな立体起動技術でジャンを追い抜いてアプローチしました。ジャンの立体起動の評価はトップクラスのはずですが、コニーはそれを上回っている可能性も?
・キース教官の評価(4巻18話)
- バランス感覚が良く小回りのきく機動が得意
- しかし頭の回転は鈍く作戦の誤認が多々ある
他者からの評価:△
ただし、後半部分がキースの認識不足であることは、後述するトロスト区防衛戦を見れば明白です。天才とは凡人には計り知れぬものなのかもしれません。
(18巻71話)
・訓練兵団卒業成績(1巻2話)
8位(実質2位)
上位5人のチート勢を除けば、一般の部で第3位です。惜しくもジャンとマルコの後塵を拝しましたが、マルコは1歳年上であることを考慮すれば、実質2位ではないかと言う声も後を絶ちません。人類では銀メダル級でしょう。
チートの部
1位:ミカサ
2位:ライナー
3位:ベルトル
4位:アニ
5位:エレン
一般の部
1位:ジャン
2位:マルコ
3位:コニー
4位:サシャ
5位:ヒストリア
・調査兵団への入団宣言(1巻3話)
リーダーシップ:◎
固定砲整備任務の際、調査兵団への入団を真っ先に宣言したのは他でもないコニーであります。彼のその勇気ある言動によってトーマス、ミーナ、サムエルらも調査兵団を志すことを決意。そのリーダーシップと人望には目を見張るものがあると言ってよいでしょう。
・トロスト区防衛戦(2巻8話)
作戦立案:◎
未だ訓練兵としての緊急的な初陣でありながら、その撤退戦において兵団本部への補給作戦を真っ先に提案、尻込みしていたジャンを後のリーダー格に成長させるきっかけを作りました。戦果1位のミカサや、本部での作戦立案で功績を上げたアルミンを助けながらも着実に本部への到達を果たしています。本部では巨人討伐のA代表7名(チート組を除けば実質トップ3)に選出されましたが、討ち漏らしました。彼の人生唯一の汚点か?
【主な戦績】
ミカサ:戦果ダントツ1位、ただし普通であれば戦死していたかも
ジャン:補給作戦を指揮、ただしコニーの立案による
コニー:各人物の戦功をアシスト、本部での討ち漏らしは減点1
アルミン:本部での作戦立案、ただしコニーのおかげで本部に到達
サシャ:本部で討ち漏らし減点1
エレン:実質戦死
・立体起動装置検査(5巻21話)
↓
ソニーとビーン殺害犯を探すための検査において、アルミンとアニに会話を持ち掛け、その流れでアルミンがアニの立体起動装置がマルコのものだと気付きました。ご存知の通り、これがアニ=女型説の決め手になります。つまり、コニーはアニ捕縛の最大功労者と言っても過言ではないでしょう。
-調査兵団入団後-
・エレン&ユミル奪還戦(12巻50話)
歴戦の調査兵、および多数の憲兵を失う大激戦の中、後の女王であるヒストリアを二度にわたって救出、座標発動の間際まで奮戦し複数の無垢巨人を討伐、無傷で帰還しました。
【主な戦績】
ミカサ:重傷、戦闘不能
ライナー:敗走
ベルトル:敗走
ジャン:重傷
コニー:ヒストリア女王救出×2、無傷
エルヴィン:右腕喪失
ハンネス:戦死
エレン:叫んだだけ
・シガンシナ区決戦(20巻79話)
両陣営合わせて、まともな生存者が9名と車力だけという死地にて、数度にわたり、鎧・超大型と対峙、雷槍で片アゴを砕くことで鎧撃破をアシストしました。その後、重傷のサシャを救出・保護しています。超大型戦では、余裕すぎてダジャレを言う一幕も。
【主な戦績】
ミカサ:鎧撃破、負傷
リヴァイ:獣撃破
エレン:超大型撃破
ジーク:実質戦死
ライナー:実質戦死
ベルトル:戦死
ジャン:負傷
コニー:喉をヤケド
サシャ:重傷
アルミン:炭化
エルヴィン:戦死
ハンジ:重傷
ピーク:戦闘不参加
-総評-
やっぱり天才でした。
数多の激戦を生き抜いた兵士の中でも、ほとんど傷を負わずに今に至るのはコニーのみです。その戦闘センスを天才と言わずして何といえばいいのか。人類最強と言ってもよいのではないか。
…半分冗談で書いてましたが、マジ無傷、マジ天才、でした。
願わくばマーレ編も無傷で生き抜いておくれ・・
-おまけ-
コニーにだけタメ口をきいています。天才は天才にのみ理解できるということでしょうか・・
本日もご覧いただき、ありがとうございました。
written: 1st Apr 2018
updated: none
011 巨人化学② 隠れた形質
みなさんこんにちは。
巨人の仕組みを知って物語の謎を解こう、のこのコーナー。今回は基本的なところに戻って、巨人の容姿から、その仕組みを探ってみたいと思います。
この記事は最新話までのネタバレを含んでおります。さらに登場人物や現象についての言及などなど、あなたの読みたくないものが含まれている可能性があります。また、単なる個人による考察であり、これを読む読まないはあなた自身に委ねられています。その点を踏まえて、自己責任にて悔いのないご選択をしていただけますよう切にお願い申し上げます。あなたの選択とその結果に対して、当方は一切の責を負うものではありません。
※画像は全て 「進撃の巨人(諌山創著 講談社刊)」 より引用させていただき、個別に巻・話を表示しております。
[隠れた形質]
(20巻79話)
巨人といえば、読み始めた当初は出てくる巨人たちに何とも言えない気味悪さ、恐ろしさを感じました。今はあまりそういった感じを抱かなくなってるのは、無垢巨人が出てこない、元が人間だと知った、見慣れた、作者の画力向上できれいな絵になった、などなど、さまざまな理由が考えられるのですが、そもそもなんであれを気持ち悪く感じていたんでしょうか。
(3巻 特別編 リヴァイ兵士長)
まず、何を考えているのかわからないところがありそうです。なんか笑ってますし、感情の無い笑顔。そして、バランスの悪さもあると思います。変なところが無駄に育ってたりする、あの感じです。腹が出ているオッサンを見ても、だらしないとか言うくらいで気味悪いとは違うんですが、巨人は妙に寸胴だったり、手足が長かったり短かったり、なにかが狂っている感じがします。逆に人間とほとんど変わらない体形のヤツはそんなに気持ち悪さを感じません。
私たちは今までに見た人々の、平均に近い顔に好感を持つという話があります。逆を言えば、そこから大きくはずれているものには嫌悪感を抱くわけですね。
巨人ばかり見ていたら守備範囲が広がるかもしれません笑
しょーもない前フリはさておき・・
ユミルの民が巨人化すると、元の本人にある程度似ているのはご存知の通りです。また、エレンが良い例なのですが、エレンは子供の時は子供の姿、成長するにつれ巨人体の姿が変わっています。さらにユミルを見てみれば、巨人化してから60年ほど経過してもその姿は変わっていないようです。エルディア復権派の人々も同様です。つまり、”巨人化した時点”での本人の形質を膨れ上がらせているというか、巨大化させているということのようです。
エルディア復権派のみなさん(1巻4話、22巻87話)
いろんな巨人を見ていると、人間をそのままコピーしたような巨人がいる一方で、元の人間との違いがみられる巨人も多く見られます。
ダイナ・フリッツ(12巻49話、22巻87話)
顔はダイナに似ていますが、あちこち強調された感じになっており、変わらぬ笑顔と合わさってキモチワルイです。上半身がやたら育っているのに対し、下半身がなんというか、短いです。
コニー母(13巻51話、9巻37話)
顔はよく似ていますが、ダイナ同様に少し強調が見られます。手足が異常なほど細く、動けません。
今度は知性巨人を見てみましょう。知性巨人は、本人に似た素体に、各巨人の特徴がアドオンされているような感じになっていますね。
鎧(19巻75話)
顔はライナーに似ています。筋肉むき出しの全身を、鎧状の硬質化した皮膚が覆っているような感じです。
超大型(24巻95話)
筋肉むき出しで身長が約60メートルあります。髪の毛と皮膚が無いので分かりづらいですが、顔はややベルトルさんに似ているかなとも思います。
女型(24巻95話)
こちらも筋肉むき出しですが、一部皮膚があるように見えます。その名の通り女性の体形をしており、アニにも似ていると思います。
車力(21巻83話)
まず四足歩行なのが何よりの特徴でしょう。全身を皮膚で覆われています。顔はピークに似ているとは言い難いですが、元々はこの顔をしたオッサンが中にいる予定だったことが作者により公表されています。
戦鎚(25巻101話)
女性っぽさを感じますので、本人の形質は出ているようですね。軟度のある硬質素材で全身を覆っており、またその素材から様々なものを創り出せるのが特徴のようです。
獣(11巻46話)
全身を体毛に覆われ、猿のような姿をしています。身長はやや高めで、腕がやたら長いですね。顔はジークの面影があると思います。耳が尖っています。目の周りはメガネの跡のようになっており、中の本人のメガネは巨人化時は溶け込んだようになっているようです。メガネが返ってくるのかはいまいちはっきりしません。
顎(12巻47話、24巻95話、23巻91話)
せむし男のような体形、鋭いアゴと爪が特徴です。全身を皮膚で覆われ、ガリアード兄弟が本人それぞれの髪の色の反映を実証しています。ポルコの顔がやや異なる、というかライナーっぽさがあるんですが、銃痕を見るに硬質化を加えているのではないかと推測します。ユミルは耳が尖っていますが、他二人は今のところ確認できません。ただし、ユミルについては後述しますが、設定に不確かな部分が存在しているかもしれません。
進撃(19巻78話、16巻63話、22巻88話)
エレンのみ始祖も併せ持っていますが、特に変わった点は見受けられず、だいたい本人の特徴が出ているように感じます。全身を皮膚で覆われ、標準的な男性体形に感じますが、グリシャは本人が痩せているにも関わらず、だらしない体形になっています。また、クルーガーは確認できませんが、エレンとグリシャは耳が尖っています。
始祖(17巻69話、16巻63話、12巻50話)
ウーリは部分巨人化のため、完全には把握できませんが、フリーダを見るに全身を皮膚で覆われていそうです。フリーダは女性の体形になっています。エレンの座標発動時に巨人化していないことを合わせると、もしかすると始祖には外見の特徴が無く、本人の形質がそのまま出ている可能性があります。始祖の特徴は座標の中心であり、意識・記憶に干渉するという内面的なことであることからも、あり得るかもしれません。
さて、こうして各巨人を見ていくと、やはり本人には見られない形質が現れている巨人も多くいることが発見できます。
その一つがエレンの口です。(25巻101話、15巻62話)
歯並びというか、口そのものが2つ重なっているかのような形状をしています。エレンが2つの巨人を宿していることを連想させますが、無垢巨人の時にも表れているため、否定されます。また、他の始祖や進撃の人たちには見られないため、これはエレンの個人の形質だと言えます。
さらにエレン巨人には、耳が尖っているという特徴があります。他に尖り耳を持つのは、グリシャ(進撃)、ジーク(獣)、ユミル(顎)となっています。エレンは無垢の時も尖っているように見えます。ユミルを除くとイェーガー家の面々になりますので、なにやら血の繋がりとの関係を感じさせますね。ただ、ユミルなんですが・・
-ユミル巨人について-
まずは並べてみてみましょう。順番に、ライナーの回想の無垢(10巻40話)、顎として初登場時(10巻41話)、最新の無垢(24巻95話)です。
元々、ユミル巨人は耳が尖っているものとして描かれ続けてきました。ところが、最新である24巻において、尖っていない耳に明らかに改変されています。それ以降、ユミルが登場する機会は無く、現状何が正しいのか分からない状態になっています。どうもユミルに関しては何らかの設定変更、あるいは以前描いたものが誤っていた、といったことが考えうるのですが、考察のしようがないので、私はユミル巨人についてはいったん忘れようと思っています。
もし最新をとって、無垢では尖っていないが、顎になると尖る、ということであれば、エレンのケースと矛盾するので、現状の耳の考察は無意味になりそうです。エレンも修正されるという条件であれば、尖り耳は進撃・獣・顎の特徴、ということになります。逆にユミルを無視すると、尖り耳は個人の形質になり、イェーガー一族の特徴になります。ポルコの耳が見えるまでは、保留せざるを得ないでしょう。
そもそもユミルは無垢でも顎でも、ほぼ同じような姿をしていることも、初期の設定のあやふやさを感じなくはないです。まあこちらは前回考察した時空間の理屈を持ち出せば、こじつけることもできるのですが、今度はアルミンと矛盾しますので。
-ユミルおわり-
他にも独自の形質をもった巨人がいますので見ていきましょう。
まずはアルミンです。彼の超大型巨人はまだはっきりと登場しておりませんが、21巻85話のこのイメージはおそらくアルミンの超大型の顔と推測されます。
アルミンはこの時、巨人継承によって前後の記憶を失っているため、超大型=ベルトルさんと誤解しているようですが(あるいは何らかのベルトルさんの記憶か声などを見聞きした可能性も無くはないですが)、ベルトルさんの超大型と見比べると明らかに異なっているのが分かります(20巻79話)
アルミンの方は、顔の左半分が非対称で、ドクロを思わせる感じになっており、陰影の加減にも見えますが左目が無いかもしれません。そして何より鼻がありません。
そこで、アルミンの無垢巨人を見てみると・・ (21巻84話)
こちらも鼻がなく、また左目が開かないのか無いのか分かりませんが、なにか問題あるように見えます。近いうちにアルミン超大型は登場すると思われますが、この形質を持っている可能性が高そうです。
続いてはフリーダです(16巻64話)
こちらはフリーダが始祖継承時に無垢化した時のシーンですが、髪の色がおかしいのです。フリーダは黒髪のはずなのに、巨人体は金髪になっています。これは始祖の継承前ですから、始祖の形質ではありません。元の人間の時と巨人体の髪の色が異なっているのは、今のところフリーダだけです。
ではこれらは何か意味があるのか、となってきます。
2重の口、鼻の欠損、黒髪が金髪になる・・先ほど出た血の繋がりをヒントに考えると、どうも本人には発現していない遺伝子の異常、あるいは劣性の遺伝形質というのが想像されます。
-遺伝についての補足-
ご存知の方も多いと思いますが、念のため補足いたします。
私たちの遺伝子は、父と母からそれぞれ受け継いだ遺伝子が対になっており、体の各パーツに対応した部分から父か母のどちらかの形質を発現させます。そのため、目は父に似てるが、鼻は母に似ている、といったことが起こります。ただしパーツによっては、出やすい形質と出にくい形質が決まっており、それぞれを優性、劣性の遺伝形質と呼びます(現在はそれぞれ顕性、潜性と呼ぶ流れになっているようです。なぜかと言うと、遺伝子に優劣があるイメージが感じられてしまうためです。実際には出やすいか、出にくいか、という意味以上のものはありません。ここでは長年使われてきた馴染みのある表現として古い方を使わせて頂いています)
鼻の欠損などは形態異常といわれ、遺伝子の異常によって起こるのですが、普通は劣性として隠れることが多いようです。遺伝子の異常は、親から子へ、代々遺伝子を引き継いでいく過程で、時々起こるミスコピーが主な原因です。それは普通にありふれていることで、私たちはみな誰もがいくつかのミスコピーを持っているそうです。しかしながらそれは、通常は優性の陰に隠れて表には出ないのです。
世界で近親婚がタブーとされているのは、そのためです。私があるミスコピーを持っているとすると、そのミスコピーは祖先から引き継いでいる可能性があり、その同じ祖先の血をひく親族は全く同じミスコピーを持っている可能性が高くなります。もし結婚した二人ともが同じミスコピーを持っていると、そのどちらを取ってもミスコピーになってしまい、二人の子供には、それが隠れずに表に出てしまうわけです。
髪の色はといえば、いくつかの遺伝子が関わっているため、少し話が異なるのですが、基本的には色が濃いほうが出やすいです。色が混ざるイメージをしていただくのが感覚としては近いと思います。黒髪の純日本人が金髪の外人と結婚しても、その子供は金髪になりません。だいたい茶から黒の髪色になります。その子供が金髪と子を成せば、金髪の孫が産まれる可能性がでてきます。
-補足おわり-
話を戻します。
これは、人間の時の本人たちには表れていない隠れた形質が、巨人化した時に出ているかもしれない、ということなんです。ただ、他の巨人たちを見ると必ずしも異常があるとは言えないものもたくさんいます。ということは、優性と劣性に関係なく、テキトーに形質が現れている、ということかもしれません。そう考えると、無垢巨人たちのバランスの悪さが説明できるような感じもしています。
だからそれがなんなんだ、ということになるかと思います。
もしこの仮定が正しいならば、血筋の見極めに利用できる可能性があると思うのです。どういうことか例を上げます。
(あくまで例え話です)
私は145代フリッツ王が混血だと妄想していますが、例えば真の王家血統が今までずっと黒髪だったとしましょう。それは周囲の重臣らも知っていることです。145代も普段は黒髪だったとします。ところが、継承のために巨人化してみたら出るはずのない金髪が出てきた、なんてことがあったとしたら・・
同様に、エレン巨人の口のような形態異常も、考えようによってはいろいろ妄想ができます。
根拠にするつもりはないのですが、現実世界で形態異常の遺伝子を多く持っている可能性があるのが、王族です。なぜなら、彼らは自分たちの血の正統性と利権を守るために、近しい、あるいは身分の高い家との交配を繰り返してきたからです。現在のヨーロッパ各国の王族は、ほとんどがどこかで血が繋がっているといいます。進撃世界の王族がどのように血を受け継いできたかは窺い知ることはことはできませんが、同様の可能性もあるかもしれません。
あ? でも・・アルミン?
さらにイェーガー家のみなさん(もしくは進撃・獣・顎)の尖り耳は、大地の悪魔を連想しませんか?大地の悪魔がそもそも何なのか不明ですが、いわば巨人の根源みたいな感じなのは確かだと思います(21巻86話)
・ジークは特殊な力を使えます(ダイナの血かもしれませんが)
・エレンは少なくとも座標を発動させた事実があります(ダイナの力、あるいはカルラの血かもしれませんが)
もしかするとイェーガー家の血筋には、何か秘密があるかもしれません。
こうして見てみると、巨人体は隠れている遺伝形質を発現させている可能性があると言えませんでしょうか。あくまで仮説の域は出ていませんが、アルミンの例などは意味深な感じがするので、来月以降に登場した時に、その形質が現れているなら、おそらくそこに何らかの秘密が隠されている、と思うのです。。
最後に・・
謎というか、ずっと気になっていることなんですが、超大型巨人の足首についてです。
なんか先がつまった感じになっています。こちらは地ならしのイメージ図(25巻100話)ですが、どちらもそうであることから、これはベルトルさんの形質ではなく超大型の形質だと分かります。なんか9つの巨人が何なのか、ということに繋がってそうな感じがするんです。
なんとなく、象の足っぽくも見えますし、巨大樹の根本を連想させるようにも感じるような・・
本日もご覧いただき、ありがとうございました。
written: 29th Mar 2018
updated: none
010 巨人化学① 知性巨人の器
みなさんこんにちは。
3/26 修正:読み返したところ、何を言いたいのかわかりづらかったので全体的にリライトしました。大筋は変わっていないつもりです。
初めていただいたコメントがスパムで、若干ヘコんでいる主です。みなさまいかがお過ごしでしょうか。ぜひお気軽にコメントお待ちしてまーす笑
愚痴はさておき、物語は現在、様々な伏線が回収されており、だんだんと佳境を迎えつつあるように感じられます。そんな中にあって、こと巨人そのものに関する謎は、まだほとんど明かされていません。
巨人とは一体何なのか、どういった仕組みでできているのか、作者が想定しているであろう設定を探ることで、今後の展開への気付きが生まれるのではないかと思い、巨人化学と題して考察していきたいと思っております。初回は知性巨人になる人々へのある疑惑から・・・
この記事は最新話までのネタバレを含んでおります。さらに登場人物や現象についての言及などなど、あなたの読みたくないものが含まれている可能性があります。また、単なる個人による考察であり、これを読む読まないはあなた自身に委ねられています。その点を踏まえて、自己責任にて悔いのないご選択をしていただけますよう切にお願い申し上げます。あなたの選択とその結果に対して、当方は一切の責を負うものではありません。
※画像は全て 「進撃の巨人(諌山創著 講談社刊)」 より引用させていただき、個別に巻・話を表示しております。
[知性巨人の器]
私は進撃の巨人を読み始めた当初、実は「この作品、大丈夫かな?」と疑念を抱いたシーンがありました(今は伏線の一つだと分かっています)
こちらの有名なシーン(1巻2話)なのですが、わずか10歳の少年が、それまでの展開にそぐわない”駆逐”という言葉を発したことに、非常に違和感を覚えたのです。いわゆる中二病的セリフの多い凡百の作品なのかなと思ったほどです。
10歳といえば現代の小学生4年生くらいですから、そういう言葉を覚えて使いたがる年頃かな、という見方もできなくはありませんが、それまでのミカサや両親、ハンネスさんらとの会話を見ていると、エレンはそういう喋りをするキャラではないんですよね。
さらに畳みかけるように、似たような雰囲気のセリフがもう一つ出てきます(2巻6話)
今度は駆除って。やっぱり中二病ですかね…
ところで…
エレンといえばご存知の通り、「進撃の巨人」の継承者となったわけですが、彼には物語の山場に判明するであろう大きな謎があります(1巻1話)
この、ループ説がささやかれる最大根拠であり、ミカサを謎めいた存在にしている冒頭の夢(?)です。
その手掛かりはおそらく「道」にあるであろうことはみなさんも推測してると思います。今回はその「道」の仕組みの一端を探っていきたいと思います。
まず押さえておかなければならないのは、22巻88話のこのシーンですね。
クルーガーがミカサとアルミンの名前を出したことによって、「道」の時空に関する設定が明らかになったシーンです。端的に言えば”未来の記憶も見られる”ということです。
-余談-
このシーン、エレンが見ている記憶ではなく、読者だけに見せているシーンの可能性があります。エレンが驚いたりしてる様子が見られませんので。
-余談おわり-
話を戻しまして、クルーガーは「空間を超越した道」とグリシャに説明していますが、未来や過去の記憶が流れてきている事実を合わせれば、実際には「時空間を超越した道」と言ってよいことが分かります。
これは現代の科学的な時間の考え方にも合致しています。時間とは物事の変化を把握する上での指標にすぎません。考えてみれば、絶対的な時間というものは存在せず、相対的なものでしかないことが分かります。それはつまり、あくまで私たち人間が利便性のために生みだした概念であって、言わばある基準点からどれだけ経過したか、どれだけ遡るか、という物差しのようなものです。過去・現在・未来というのも、人間が生み出した概念です。
時間が過去から未来へしか流れないように見えるのは、私たちがそのようにしか認識できない生命体だから、とも言われています。よく言う、点(1次元)は面(2次元)の上に存在するが、面を見渡すことはできない、というアレです。私たちは”3次元の空間と1次元の時間”という4次元世界に存在する立体(3次元)生命体であり、3次元は理解できますが、4次元の時間を見渡すことはできないのです。もし4次元以上の生命体がいれば、彼らは全ての時間を俯瞰することができるとも言われています。俯瞰できるということは、今そこにある、ということです。
なんとなくループ説に繋がりそうに感じるかもしれませんが、ちょっとニュアンスが異なります。私たちには見ることはできませんが、過去も現在も未来も全て同時に存在している、というほうが感覚的には近いでしょうか。そして、その時空間を超越できるならば、過去も未来も、現在と同じように観測することができるわけです。
あまり説明が上手くできずごめんなさい。詳しくはグーグル先生に聞いてください。
さて、道が時空を超えていることを踏まえて、先ほどの違和感のシーンに戻ります。
実はこれらの言葉は、別のシーンで出てきています(22巻87話)
まず”駆逐”は、セリフまでほぼそのままです。
そして”駆除”とその周辺、言い回しは異なりますが、似たようなことを言っています。
これらが意味するところは、エレンがグロス曹長の発言を道を通して聞いたことがある、ということではないでしょうか。
本人がそれ自体を覚えているかは分かりません。夢として見て、忘れている可能性もあります。さらに言えばクルーガーの記憶なのか、グリシャのそれなのかも定かではありません。しかし、記憶領域の深いところにこの言葉が刻まれていたのでしょう。そう考えれば、10歳の少年がこれらの言葉を使ったことも理解できます。
そしてもっとも重要な点は、エレンがこれらの言葉を発したのは、進撃を継承する以前だということです。
同様の例がもう一つあります。
”駆除”を発したのは、エレンが単身でミカサを救出した後ですが、そもそも彼はなぜ誘拐犯のアジトをすぐに発見できたのでしょう。ミカサの生家に行ったのすら初めてだったはずです。
これは何かを受信してますよね?
凄惨な現場を見たことをきっかけに、誰かの記憶が流れ込んできたんじゃないでしょうか(おそらく誘拐犯の誰か、ミカサの可能性もほんのわずかながら残ります)。そうであれば、エレンの迅速な救出劇は、まったく不自然ではなくなります。
エレンが様々な記憶を見ていたと仮定して、1話冒頭の夢や、ハンネスさんへのセリフに見られる巨人への危機感、初めて見たはずの巨人を「ヤツだ…巨人だ」と言っていることなどを読み返すと、とても自然な印象を受けることと思います。ただし、何度も言うようですが、おそらく本人は自覚がないと思います。
このことは、言い換えればエレンは巨人化する以前から他者の記憶にアクセスしていた、ということになります。作中では知性巨人の継承者の視点で、過去の記憶を見ているのがほとんどですが、ユミルの民は全員が道で繋がっている、という設定を考えれば、それほど不思議なことではありません。しかしながら他の、普通の人々が記憶を見ているような描写は見られません。何か他の条件があるのでしょうか。
巨人化してなくても、夢などで知らず知らずのうちに記憶にアクセスすることがある、と仮定して読むと、実はそれらしいシーンがいくつか発見できます。
まずはあの人の預言です(1巻1話、8巻34話)
”後に”超大型巨人を継承するアルミンは、それ以前から何かを知っているかのような発言を繰り返しているのはご存知の通りです。”地ならし”が作中で言及されるはるか以前から、それを言い当てているのです。普段からさまざまな推測を的中させたりしているのも、もし彼が記憶にアクセスしていたとしたら、納得がいきそうです。もちろんそれを作戦として組み立てられるのは、本人の後天的な才覚によるものでしょうが、あの勘の良さは記憶によってもたらされていると考えたほうが自然に感じます。
100年間の平和を謳歌していた壁内、すなわち、現在の壁内の人々は生まれてこのかた平和ボケしていたわけです。そんな中にあって、この10歳の子ども二人だけが巨人の襲来で壁が壊されることを予感していた、これは偶然とは言い難いでしょう。
アルミンはこうも言っています(20巻81話)
もしかするとこれは、壁に閉じ込められた超大型の無垢巨人たちの、切なる想いが記憶の奥底にあるのかもしれません。
さらに・・
グリシャ・イェーガーは、少年の頃、自由を求めて収容区を出ました。その結果、”自由のために戦う”進撃の巨人を継承するに至りました。彼が自由を求めたから進撃になったのか、進撃になる者だから自由を求めたのかは今のところはっきり分かりません。しかしながら何らかの関連性がそこに見出せます。
ジークにも同様の兆候が見られます(21巻86話)
幼いジークにとって、敵の兵士をやっつけるヒーローは猿だったようです。これも同じように、猿が先か、ジークの想いが先かは判別できませんが、少なくともこの時点で、既に彼自身の未来と繋がっていた、と解釈できるのではないでしょうか。
これらに共通するのは、彼らは知性巨人の継承者だということです。しかしながら、彼らはその継承の以前から、何らかの影響を受けているように見えます。知性巨人であることが道との繋がりを強めるのだとしたら、先述した時間の概念、過去・現在・未来が同時に存在していることを考えると、彼ら継承者たちはその継承の以前・以後に関わらず道との繋がりが強い、という可能性が出てくるかもしれません。
なんとなくですが、運命とか宿命と呼ばれるものに対しての、作者のSF的な解釈にも感じられます。彼らは知性巨人になるべくして産まれた、と言い換えることもできそうです。
ただ、例外的なケースが一点あります。
それはヒストリアです。ヒストリアは巨人化していないにも関わらず、ロッドの記憶を垣間見ています(17巻68話)
これは無垢巨人化したロッドにとどめを刺した際に起こりました。
元々ヒストリアはフリーダ関連の記憶を忘れさせられていたわけですが、13巻54話ではフリーダを夢で思い出し、起きてすぐに忘れています。これは、記憶はちゃんとどこかに残っており、何かのきっかけで表に出てくる、ということを示唆しています。
その後、エレンに触れたことをきっかけにフリーダとの思い出をはっきり思い出します(16巻63話)
さらに注射針のチクッという痛みで同じくフリーダを思い出しています(16巻66話)
ヒストリアは人間のままですが、どのケースも最初のきっかけになる相手は巨人です。やはり巨人であることが道(記憶)との繋がりを強くしていることは確からしいです。ただ、ヒストリア自身は巨人ではないため、どちらか一方が巨人であれば記憶へのアクセスができるということかもしれません。あるいは、ヒストリアの場合は王家の血が関与している可能性もありますね。もしもヒストリアが巨人化したら、より多くの人の記憶にアクセスできるのかもしれません。
もちろん、ヒストリアが今後巨人化するならば、これは例外ではなくなります。ただ、エレンやアルミンのような勘の良さを描かれていないことから察するに、巨人化は無さそうに感じるんですよね。断言はできませんが。むしろハンジのような勘の良い人のほうが怪しいくらいでしょう。割と脈絡なく、レイス領の地下空洞の地形を予想してたりするんですよね(16巻64話)
さて、どうもユミルの民は、必ずしも巨人化することなく記憶にアクセスできる可能性が高くなりました。このことはまた別の考察に繋がっていくんですが、それはまた次回以降に。
最後に冒頭のシーンについてちょっとだけ。
アニメではいくつかのシーンがフラッシュバック的に表現されていますが、原作ではミカサ(に見える女の子)からの「いってらっしゃい」と黒塗りの1コマしか描かれていません。しかしながらその後のエレンの反応と重ね合わせるシーンが描かれたことによって、それが道による記憶を夢に見て、追体験をしていたことが分かりました(1巻1話、22巻87話)
残念ながら(?)、ループ説はほぼ無くなったと言ってよさそうですね。
この時エレンが見ていた記憶が、ミカサとの思い出(傷が無い上に、少女に見えるので、少なくとも調査兵団入団以前でしょう)なのか、クルーガーとキヨミさんの幼い頃なのか、過去か未来の進撃・始祖の継承者の記憶なのかは分かりませんが、エレンは何らかの悲しい物語をこの時に追体験して、記憶のどこかに刻み込んでいます。明かされるのは終盤になると思いますが、どのような仕掛けをされているのか、楽しみに待ちたいと思います。
キヨミさんが首にスカーフ(?)を巻いてるのも、進撃継承者が今まで何度も巻いてきた一つだったりするかもしれませんね。これからも何度でも、というのは、エレンなのか進撃なのか・・・
本日もご覧いただき、ありがとうございました。
written: 24th Mar 2018
updated: 26th Mar 2018
009 最新話からの考察 103話② ジーク・イェーガー
みなさんこんにちは。
今回は103話の展開を踏まえて、ジークについて考察してみたいと思います。だいぶ長くなってしまいましたが、よろしければお付き合いください。
この記事は最新話である103話までのネタバレを含んでおります。さらに登場人物や現象についての言及などなど、あなたの読みたくないものが含まれている可能性があります。また、単なる個人による考察であり、これを読む読まないはあなた自身に委ねられています。その点を踏まえて、自己責任にて悔いのないご選択をしていただけますよう切にお願い申し上げます。あなたの選択とその結果に対して、当方は一切の責を負うものではありません。
※画像は全て 「進撃の巨人(諌山創著 講談社刊)」 より引用させていただき、個別に巻・話を表示しております。
[ジーク・イェーガー]
まずは事実関係を見ていきましょう。
・中東戦争後の会議(23巻93話)
中東戦争終了直後の会議にて、始祖奪還作戦の再開を元帥に進言しています。
この発言は、マガトの表情や、「話を聞いていたのか」というセリフで分かる通り、マガトとの事前相談などのない発言です。会議後にはマガトは「底知れぬ」ヤツだと言っています。マガトとの距離を少し感じさせます。また、会議後のシーンでは自分が王家の血を引いていることをマーレには隠している事実が判明しています。
・祖父祖母との再会(23巻94話)
レベリオ帰還時の祖父母との再会シーンでは、その優しい目線からジークの人となりや、家族への思いを想像させます。「まだだよ」というセリフから、自分にはまだやることがある、と考えてることが読み取れます。
・思想調査(24巻95話)
まず、大変な読書家(?)であることが分かります。書棚に入りきらず、床の上からソファの下まで本があふれているようです。
また「この部屋にはいない」という発言によって、盗聴されていることを匂わせています。マーレの思想調査への反抗、あるいは仲間への気遣いとも言えるでしょうか。残念ながらライナーとピークしか気付きませんでしたが。マーレ側ではマガトが気付き少々ご不満な様子です。王家の血の件と合わせても、マーレに絶対服従している感じではないようですね。
・思案(24巻98話)
ちょうどエレンの手紙のシーンを境に、眼鏡が曇って、いや、目を描かれないシーンが続きます。と同時に周囲の人間から離れているような、心ここにあらずというか、何かを思案しているという風に感じられます。
・キャッチボール(24巻98話)
このキャッチボールの少し後、初めてガビに勝ったファルコが病院のエレンを訪ね、そこにグラブとボールがありました。エレンとジークが直接会ったことを匂わせていますね。
ジークの「行くぞ」にコルトは「えっと…どちらへ?」と返しており、またコルトのノーコンぶりから、普段からキャッチボールをしてたわけではなさそうです。初めての可能性すらありますね。継承を視野に入れているなら、せめて投球術くらいは教えていてもいいはずなのに、とも思えます。
また、「それが兄貴ってヤツだろ」というセリフは、グライス兄弟の話をしながら、ポルコにやんわり教示しているわけですが、それはまた自分の心情の吐露にも感じられます。
・襲撃前
まず、ファルコに呼ばれたライナーを、意図はどうであれ促したのは事実ですね。時計をしていることにも注目です。(24巻98話)
その後、正門へ向かうようにというロープ兵の指示にも素直に応じています(25巻99話)。ピークはここで違和感を感じているようですね。それもそのはず、マガト隊長が呼んでいるはずのになぜ目的地が別なのか、と思いますよね。
・襲撃後
襲撃前にジークは入口に向かいました。この時点でジークはフリーです。その後、ピークポッコが穴に落とされ、さらに時間が経って襲撃が始まりました。
地鳴りを聞いた後、ピーク達は脱出し、収容区外にある本部に機関銃を換装しに行きます。当然、入口を通ることになるでしょう。移動時間を含めているかは分かりませんが、ピークは換装を10分と見積もっています。
ポルコは先に現場へ、ピークはやや遅れて機関銃を装備して到着しました。そこからさらに遅れて、巨人化したジークが到着しました。
ピーク真顔になります。マガトも真顔というか、複雑な表情です。マガトは何かを知っているかもしれませんね。(25巻102話)
誰もが考えている通り、ジークの行動には不可思議な点がありますね。ピーク達が落とし穴の中で地響きを感じているのですから、それから現場へ向かえば少なくともピークよりは先に着くでしょう。
・戦闘
描かれている限りでは、ジークの投石はほぼ地面に対して行われています。1回だけ、大きく振りかぶって縦線状に投石を行いました(103話)。立体起動からすると、かわしやすいかもしれません。
対してピークは機関銃による面での一斉射撃が立体起動には効果的だと理解し、実行していますね。(25巻102話)
「エレンは俺の敵じゃない」とは、2つの意味にとれるわけですが、ここでピークは再度の真顔です。ピークはシガンシナでジークがエレンに語りかけているのも聞いていますが、その時の表情も見てみたいものです。
リヴァイに対し「時間がないんだろ?」と言います。これはピークの分析からの流れでもあるので、兵団側は時間が経てば経つほど積んでいくことを意味しているようにも取れますが、それを相手に言う必要性があるんでしょうか。そして、時間を稼げば良いのなら、敵をわざわざ誘い出す必要もないはずです。ジークは、ウトガルド城でも、シガンシナでも、兵站の破壊を最初に仕掛ける、正統派な兵法を用いています。一騎討ちに逸るタイプでは無いはずなんですが。
逆にもう一つの意味、兵団側が言ってる「時間」のことだとすると、なぜジークがそれを知っているのか、という疑問が湧いてきます。
しかもその後、奇襲を受けて身動き一つせず倒されました。そしてリヴァイは一回の斬撃のみで死亡確認を怠りました。(103話)
リヴァイの強さは、その人間離れした動きからの連続攻撃にあると思います。獣も女型も、対応する間を与えられないまま体中を切り刻まれて、敗北させられました。リヴァイは今回は一太刀入れたのみ、これが事実です。
(20巻81話、7巻30話)
といった感じで、裏が無いと言うほうが難しい状況ですが、ではどういう意図でそれを行っているのか、考えてみたいと思います。
ジークが何を考えているかを探るには、彼の人となりを考えてみる必要があります。
さて、みなさんのジークへの印象はどんな感じでしょうか。
何か我々一般人とは違った異質な人間だと感じますか?
それとも、優しく聡明な普通の人と感じますか?
私は後者なのですが、もし前者だと感じられる方は、もしかしたらある誤解がそうさせているかもしれません。これは作者も狙って仕掛けている節があるので、誤解して当然なのですが、ジークの内心を知るためには邪魔になる可能性がありますので、誤解を解いておきましょう。
その誤解とは、ジークは7歳にしてマーレに親を売った鬼畜な人間だ、ということです。
王家の血を引くことも相まって、ジークを普通の人間とは違うように思わせ、理解不能に感じさせている原因はこれが大きいんじゃないかなと思います。そりゃそうです、親を売るなんて血も涙もないのかと、それもたった7歳の子どもがです。末恐ろしいですよね。
それでは誤解とはどういうことか説明していきます。
まず、グリシャはマーレの戦士募集を聞き、それに向けた教育をして、7歳の時に告発されたのはご存知の通りです。
ジークがなぜ告発をしたかは、ジークの立場にたって考える必要があります。私は7歳児レベルの知能しか持ち合わせてないので簡単なのですが、みなさんは自分が7歳くらいの時のことを思い出してください。現代日本で言えば小学校2年生くらいですね。
思い出していただけましたか?
私の場合を例に挙げさせていただきます。はっきり覚えていることはそれほど多くはないのですが、毎日暗くなる頃にはちゃんと家に帰っていたなあと思います。今の自分からは考えられませんが笑
それはなぜかと考えれば、たぶん親にそうするよう言われていたからです。
心理学など持ち出せば、承認欲求とかなんとか理由付けはあると思いますが、そんな難しいことはおいといて、当時は親に言われたらなんとなく従っていたと思いますし、これほど記憶もあいまいなくらい、たいしてあれこれ考えたりもしていなかったような気がします。考えてたのはせいぜい親に構ってほしいとか、友達と遊んだら楽しいとか、そんなレベルだったように思います。みなさんはどうだったでしょうか?
おそらくこれが7歳児の視点です。
さて、7歳児の視点に戻れたところで、こちらをご覧ください。(22巻87話)
ジークは親を売ろうなんて思ってないことに気付きましたか?
お父さんがマーレの言うことを聞きなさいと言ったから、マーレの言うことを聞いただけではないでしょうか。ただ単に、親の言いつけを守ったように見えるのです。おそらく何も考えずに。
結果としてマーレに売ったことは変わりませんが、本人の心情としては正反対です。そもそも自分がしていることの意味や、もたらす結果など理解できていないんじゃないでしょうか。ジークは、お父さんとお母さんが大好きで、言われたことを守って褒めてほしかっただけの、ごくごく普通の子だったと思えるのです。
そもそも、この作品に出てくる登場人物は今のところ普通の人間しか書かれていないように思っています。
どのキャラも、時に勇敢だったり、時に後ろ向きになったり、自分が得するために人を陥れたり、全体の利益よりも自分の都合を優先させようとしたり、とても人間くさいのです。凡百の物語にありがちな、ただただ世界を憎んで悪の権化になったり、自分を顧みず世界平和のためだけに滅私奉公して戦ったり、そんな”特殊”な人がいないのです。それはこの作品の魅力の一つだとも思います。
そして、ジークを普通の人間だと思って各シーンを素直に見ていくと、その言動も普通で自然なものに見えてきます。
ここでいったん話を戻しまして、ジークの「告発」をそのように解釈すると、ある憶測への強い根拠が生まれてきます。
ジークは親の言いつけを守り、マーレの言うことを聞いて親の「告発」をした。ということは、そこには「告発」をさせたマーレの何者かの存在が必要不可欠です。
そこで再度そのシーンを振り返ってみれば・・(21巻86話、22巻87話)
おそらくみなさんが予想はしていた”あの人物”が浮かび上がってきます。マーレ人でありながら、グリシャ達の活動を知り得ていて、そしてこれをすることに納得のいく理由がある人物です。
ご存知の通り、クルーガーは間もなく寿命で、時間がありませんでした。彼の人生の目的であるエルディア復興を成すためには、誰かに進撃と、始祖奪還の使命を引き継がなければなりませんでした。
この時のクルーガーすごいです。これは神の一手と言ってもよいと思います。
・行動力と医学知識に富む人物に進撃を継承し、マーレに詳細を知られることなく壁内に潜入させ始祖奪還を託す
・ダイナは犠牲になりますが、王家の血はちゃんと残る
・その「告発」を餌に、マーレの巨人を1体強奪する
巻き込まれたイェーガー家はたまったもんじゃありませんが、クルーガー自身が言っていた通り、彼は目的のために非情に徹して同胞を楽園に送ってきた人物です。これぐらいのことをやってのけてもおかしくありません。
ということは、ジークにはフクロウの息がかかっている可能性が高くなります。もちろん、これだけでジークがフクロウに味方をする確証にはなりませんが、小さい頃から教えられたことは、その後の考え方などの形成に大きな影響があることは間違いないでしょう。
ジークの心情に話を戻します。
ジークはその「告発」によって両親を突如として失います。初めはわけがわからないでしょうが、歳を重ね、物事を知っていく内に、そこで何が起きたのかを理解することでしょう。それが自己防衛のために親への恨みへと転換されてもおかしくないと思います。
しかしながら成長して自分のおかれている社会の状況を知れば知るほど、親がやろうとしていたことの真意が見えてくることでしょう。でもそれを認めることは親が自分にしたことを認めることであり、葛藤が生まれるでしょうか。「何 本気になってんだよ?お前は父親とは違うだろ?(20巻81話)」と自分に言い聞かせるかのような独り言も、自分はもっとスマートにやれる、やらなきゃいけないという心情を感じさせます。ただ、このへんの感情は、両親に充足して育ったエレンとの溝になる予感はあります。
さらに、自分たちで終わりにしたいんだ、と願う気持ち、それもジークのこれまでの過酷な人生を考えれば、理解できます。なぜかエルディア人ばかりが罪を背負い、エルディア人同士で命を奪い合うために、子どもたちの命まで捧げている、この非合理な状況を打破したいのでしょう。彼はこの考えを、ライナーとベルトルさんに素直に話しています。マーレのためではなく、自分たちの悲惨な歴史を終わらせることが目的なんだ、と言っているのです。(19巻77話)
その点において、エレン(兵団)とは向いている方向が一緒だと言っても良いかもしれません。
ジークが考えている具体的な方法は分かりませんが、巨人をなんとかしたいと考えれば、やはり始祖の力が必要になるわけです。ジークは王家の血を引いてますから、自分が始祖になってしまえば良いわけですが、現在始祖を宿しているのは少なからず情を抱いている腹違いの弟でした。ならばその弟を食う、というのは最終手段であって、可能であれば共闘したいと考えることでしょう。
とはいえ、現状では表立ってエレンや兵団に協力することはできません。ジークには大事な祖父母がいます。当然、自分のマーレへの背信行為が発覚すれば祖父母に危害が及ぶことは想像に難くないです。つまり何をするにせよ、マーレ側の誰にも見られない、もしくは、見られても不自然ではない必要があります。
これらを踏まえて、現状を俯瞰してみましょう。
ジークは自分がパラディ島へ行ってエレンとコンタクトをとり、協力を模索するため、あるいはエレンの対応次第では始祖を奪取して目的を達成することを企図して、始祖奪還計画の再開を提案したのではないでしょうか。その後、実際に計画の再開が決まりましたが、タイバー家が動き出したことによって、情報戦が始まります。そしてその頃、フクロウを通じてエレンから連絡があります。
ところで、マガトが「使える柱」「そのもの達によれば」と言っていたように、間諜のような存在がいるわけですが、私はそれはフクロウの手の者ではないかと思っています。少々の情報を与えることで信頼を得て、相手の懐に潜り込む方法です。ジークを戦士にさせる際の手口と似ていますよね。カルヴィ元帥はこう言っていました。「幼子が親を売って示したその忠義 一度だって疑ったことは無い」(23巻93話)
さらに、以前ロープ兵はフクロウの人間だろうと考察していますが、彼は「西のラクア基地から招集を受け警備に参加している(25巻99話)」と言っています。これがどこまで本当かは分かりませんが、マガトはなぜ、敵襲があると想定されている現場の守備隊という重要なポジションの一角に外部の兵士を招集したのでしょう。彼が「使える柱」の一人だったから、という可能性が高いのではないでしょうか。
話を戻します。
タイバー家の動きは、現在のパラディ政権を悪役にして世界中を巻き込んでいく、というものです。これはエルディア人の立場がより危うくなる可能性を孕んでいます。タイバーの思惑通りになれば、パラディの敗戦はほぼ確実でしょう。ただでさえ国力の差が大きすぎるところに、他国の支援が加わるわけですから。さらに、エレンは名指しされている以上、処刑されることは必至です。そこで奇襲に一縷の望みを賭けるわけですが、それでも失敗の可能性はかなり大きいです。ジークは先述した通り、表立った協力はできないことが条件になるでしょう。
これは兵団が現在行っている作戦と合致するように見えます。
兵団は現場周辺の制圧、および周辺道路の封鎖によりマーレ軍を現場から排除しようとしています。さらに作戦前行動として、知性巨人の戦士たちを軟禁状態にしました。ジークを除いては。
戦鎚は当然、目下の敵ですから、叩く必要があります。しかし正体が不明だったので、他の戦士とは違い、炙り出してから無力化する必要があります。であれば、ヴィリー・タイバーを攻撃すれば良いのです。ヴィリーが戦鎚であれば、その時点で完了です。そうでなくとも、ヴィリーを殺害すれば出てくるのは推測できたでしょう。
その上で、”マーレ軍の指示によって”遅れて現場に現れたジークが、座標発動に力を貸すのです。計画通りならば、マーレ側には誰にも見られません。いずれにせよ、戦っているフリや、やられたフリをしながら発動してしまえば祖父母の安全は確保できます。
ところで、以前飛行船でアニを運んでくると予測をたてましたが、もしかするとこれも取引材料になっている可能性がありそうです。もし兵団側の作戦が失敗に終わったとしても、ジークはアニを取り返すために協力するフリをしていたということにできるからです。
というのも、アニ父の行動を見るに、どうも不自然な点があるのです。(25巻99話、25巻101話)
このシーンから分かるのは、アニ父は少なくともこの4年間、戦士隊関連とは関わっていない、何らかの招待があっても全て参加していなかったことがわかります。熱心なライナー母とは対照的です。ところが今回、わざわざ出てきた上に、ライナー母を逃がしながらも自分は危険な現場付近に残っている可能性が高いのです。
つまり、アニ父はアニが戻ってくることを知らされていると思われるのです。アニを連れてくるという兵団側の作戦を話すからには、アニ父が仲間、たとえばフクロウの一員であるとか、もしくは上記のような保険になる理由が必須になります。マーレにリークされてはまずいですからね。
さて、ピークポッコの脱出によって、兵団の作戦は予定が狂っているのが現状です。ジークは見せかけの威嚇投石を繰り返しながら、状況を読みます。威嚇によって騙されたと激昂した兵団員が獣を攻撃しようとしますが、車力によって撃ち落されます。それを確認する獣(103話)
ピークが自分の背後を守ろうとしていることを把握します。その後のポルコへの説明もマーレ側の戦術として正しい、正しいからこそ困るわけです。そこで動きを見せたわけです。ジークの言葉はこう解釈することができます。
「エレンは俺の敵じゃない」…(攻撃するフリを見せたが)俺は敵対するつもりはない
「時間がないんだろ」…時間がないぞ、リヴァイ。出てきて状況を動かすしかない
獣が倒されたことによって、ピークが想定していた布陣は崩されています。車力は残弾を気にしながら応戦をするほかなくなり、対アッカーマンとなればかなり不利な戦いを強いられることになります。兵団側からすれば各個撃破していけばよくなりました。
余談ですが、おそらくリヴァイの立ち位置は初期のエレンに対するものと似た感じで、ジークの監視と、もしジークに不穏な動きがあれば全力で殺しにいく、といった感じじゃないかと思います。
103話までの流れは、およそこんな感じではないでしょうか。ジャンが「時間」までに無力化しなくてはいけない対象に、投石のできる獣を含んでいなかったことも、これを後押ししています。
ただ、それほどすんなりとはいかないでしょうね。特に、座標の発動条件についてのエレンの推測は疑わしい点がいくつかありますので、そこが3年間で変わっていなければ、そのへんで苦労しそうな気がします。発動条件についてはまた別で考察していきたいと思います。
-おまけ-
ジークが抜け出しているのでは、という疑惑があるようなので、簡単に予想してみます。可能性はいくつかありまして、
1 斬られる瞬間、立体起動で抜け出した
確かにこのシーン、上向きに噴射しているようにも見えますね。どちらにも見える、といった感じでしょうか。ジークの体が描写されてないことから、立体起動装置を身につけている、確かにあるかもしれませんね。
反論の余地としては、あれがジークだとするとリヴァイの軌道が無いこと、ピークが”たまたま”死角になっているようですが、その直前までの布陣を考えると、非常にタイミングがシビアですね。ジークとリヴァイに阿吽の呼吸とでも言うべき連携が必要になりそうです。そして、ジークにとっては見られるリスクが非常に高いです。
2 斬られる前、あるいは斬られてから(爆発までの間に)抜け出した。
超大型の爆発から斬られる前、あるいは、リヴァイが爆発直前に連れ出した、でもよいですが、やはり見られるリスクを解決できませんね。
3 本当に死んでる
リヴァイの一撃で即死、というケースですね。こちらは描写的には抜け出すより可能性があり得るんですが、リヴァイが雑魚になるという条件付きですね。先述した通り、リヴァイは死体の確認をしていませんので。
巨人化できる人間がなかなか死なないことを身に染みて知っているはずの彼が、ジークを引っ張り出して首をはねた上で爆破とか、手足を切って拘束とかしていないのはあまりに不自然ですよね。
というわけで私は4番の「水晶体」に賭けたいと思います。特に根拠はない、ただの予想でしかありませんが。
ジークは普通以上に巨人の力を使えますし、できてもおかしくないでしょう。雷槍も効きませんでしたので、あの爆弾も多分効かないでしょうし、なによりタイミングを合わせる必要が無いのが良いですね。
本日もご覧いただき、ありがとうございました。
written: 16th Mar 2018
updated: none
008 物語の考察 記憶のもたらすもの
みなさんこんにちは。
今回は最新話からはいったん離れて、物語全体の考察をしていきたいと思います。
ただ、今後の展開予想になっている部分もありますので、最新103話までお読みになってからご覧になることをお勧めいたします。
また、毎度のことですが、強烈なネタバレになる可能性もありますので、閲覧注意ということでよろしくお願いします。
この記事は最新話である103話までのネタバレを含んでおります。さらに登場人物や現象についての言及などなど、あなたの読みたくないものが含まれている可能性があります。また、単なる個人による考察であり、これを読む読まないはあなた自身に委ねられています。その点を踏まえて、自己責任にて悔いのないご選択をしていただけますよう切にお願い申し上げます。あなたの選択とその結果に対して、当方は一切の責を負うものではありません。
※画像は全て 「進撃の巨人(諌山創著 講談社刊)」 より引用させていただき、個別に巻・話を表示しております。
[記憶のもたらすもの]
以前、調査兵団の作戦目的は、「真実の歴史を見せること」ではないかと考察しましたが、今回の考察はその記憶の解放によって起こりうる、ある一つの可能性についてのお話です。
「記憶の継承」は進撃の巨人の世界では重要な設定の一つですが、現実にもそれに近いものがあります。
まず、人間が火を恐れたり、暗闇を恐れたりするのは、本能と呼ばれますが、それは我々の祖先がそれらを克服できなかった時代から脈々と継がれてきている記憶だと言えるのではないかということです。そして、実際に動物実験でも親になんらかのショックを与えると、生まれた子どもがそれを覚えているかのように振る舞う、言わば親子間でのトラウマの記憶の継承のようなことが確認されているそうです。若干オカルトめいて聞こえるかもしれませんが、ちゃんとした科学者によって研究されていることです。
進撃世界のユミルの民は、記憶の継承に対してより強い仕組みを持っていますから、レベリオの民なんかは代々にわたって「マーレに恭順を示し、沈黙して命を繋いでいくこと」が刷り込みのように無意識の奥底にこびりついているかもしれません。
そのレベリオ民ですが、彼らの自虐意識が非常に高いのはマーレの洗脳的な教育もあるでしょうが、一部にはそれ以上の異常性を見受けられます。それがマーレの戦士への執着です。
といいますのも、マーレの戦士に一族が選ばれることのメリットは名誉マーレ人になれることなのはご承知の通りです。しかし、この名誉マーレ人というもの、たいした価値が無いように見受けられるのです。
どういうことかというと、名誉マーレ人である戦士隊の親御さんたち、戦士自身もそうですが、みんな収容区内に住んでいるようなのです。戦士募集の際の名目では「マーレ国内での自由を保証する」とありますので、おそらく収容所外での居住権も認められていると思います。しかし実際のところ、収容区外には住めないということなんじゃないでしょうか。
それが分かるのが、戦士隊たちのレベリオ帰還時のシーンです(23巻94話)。
マーレ国のために命をかけて戦った兵士たち、英雄といっても過言ではない名誉マーレ人である戦士たちを見るマーレ人たちの冷ややかな目、もはや腕章に色が付いたところで、迫害がひどすぎて収容区外には住めないであろうことが容易に想像されます。
収容区からの外出時にはライナーでさえ、いまだに外出理由と許可証の提示が必要です。
まさに名ばかりの「名誉」だけで、全くメリットが無さそうなんです。
そんなあってないような名誉を得るだけの為に、13年しか生きられない戦士に可愛い我が子を送り出す、これを異常と言わずして何と言えばよいのでしょうか。
このことに関して作中に一つヒントが示されています。爺イェーガーの話です。
彼はエレンに対してグライス一家について語ります。要約するなら、コルトとファルコの一家は、自分たちには何の罪も無いにも関わらず、負い目を負わされ、それに突き動かされるようにマーレへの奉仕に子どもの命すら捧げざるを得ない、ということです。
かつて爺イェーガーが「ただ慎ましく生きていくしかない」とグリシャに言っていたことは正しく、クルーガーが爺イェーガーを「賢い男」と評したことも納得がいきます。普通に考えれば、こちらの道を選択するべきなのです。
このことは、他の戦士たちの各家庭にも、先祖、あるいは一族から引き継ぐ、それなりの事情がある可能性を示唆しています。
それと同時に、そのような状況に至った先祖の記憶も、彼らの無意識の奥底に眠っているのではないでしょうか。
作中ではヒストリアがエレンに触れた時にフリーダのことを思い出し、「記憶の蓋」がひらいたという表現がなされていますが、もし記憶を操ることができる始祖の力によって、全てのエルディア人の「記憶の蓋」を開くことができるとしたら・・
そこにはきっと様々な悲喜こもごものストーリーがあり、彼らはそれを自分のことのように追体験し、何かに気付いたり、何かを考え、行動が変化していくのではないでしょうか。
どうもそれに向けての伏線としか思えない事柄が、作中には散見されるのです。
それぞれについて見ていきたいと思います。
【ブラウン家】
最初は、そのマーレ傾倒の病的具合では頭一つ抜けているカリナおばさんのブラウン家です。
さて、ブラウンと言えば思い当たるのが「ヨロイ・ブラウン」です。
この液体をレイス家がどうやって手に入れたかは明かされていませんが、注射器と脊髄由来液の瓶を見るに、どうも古いものである可能性が高く、壁内移住時に持ち込んだのではないかと推測できます。
レイス家のもの(16巻66話)…全体的に大きく、シリンダーも太いです。瓶は陶器でしょうか。
こちらが約20年前にマーレが使っているもの(22巻87話)…注射器は小型化されており、瓶もプラスチックかガラスに見えます。
ただ反論の余地もあり、レイス家のものは王家用の装飾品的なものだったとも考えられますが。
これが仮に古いものであった場合、エルディア帝国時代にブラウンという家が「鎧の巨人」を管理していた可能性が出てきます。その後、巨人大戦で鎧はマーレ側に奪われていますので、ブラウン家はそこで敗者となっており、粛清されていると考えられます。
9つの巨人を管理していた家は相当の権力を持っていたでしょうから、ブラウン家もそれなりの規模があったことでしょう。粛清がどの程度の範囲まで及んだか、という話になりますが、一部の親族が生き残った可能性もあるんじゃないでしょうか。ただし、グライス家と同じような立場になるのは避けられないでしょうが。
その後、ブラウン家が代を重ねていく中、カリナは抑圧された家庭で育つことになります。「マーレ人に生まれていれば」と思うことは必然かもしれません。マーレ人との恋愛や結婚への憧れ、その子どもとマーレ人を目指すなど、全てはマーレ人であることへの憧憬と考えられると思います。
さらにブラウン家と言えば、みなさまご存知のモーゼス・ブラウンもあるんです。
-モーゼス・ブラウンについて-
モーゼス・ブラウンは1話冒頭、調査兵団の壁外調査に参加しており、巨人に喰われたと思われる兵士です。かの有名な「何の成果も得られませんでした!」のシーンでキース団長が片腕を渡した女性がモーゼスの母です。このシーンを巡っては、当初マンガ版では母親が「息子のブラウンはどこ?」と尋ねていることに対し、アニメ化の際に親が子を苗字で呼ぶのはおかしいという理由で、名前をモーゼスに差し替えられた経緯があります。
その後、担当編集者のコメントで彼の名は「モーゼス・ブラウン」であることが正式に発表されました。
左がモーゼス(1巻1話)、右がライナー(4巻18話)です。
額から目や眉、顔の輪郭はライナーと似ている感じもしなくもありません。
アニメ版はもう少し似て描かれている感じがします。左モーゼス(1話)、右ライナー(3話)です。
ちなみにこの兵士がモーゼス・ブラウンであるという根拠は、アニメのエンドクレジットにあります。
アニメ1話のエンドクレジットを見ると、モーゼスに声優が当てられているのがわかります。そして、冒頭のシーンでまともなセリフを喋っている兵士は、キース団長とエルヴィン、この兵士だけです。その後は腕だけしか出てきていませんので、この兵士がモーゼスであることはほぼ間違いないと言ってよいでしょう。
-閑話休題-
ブラウンというのはありふれた名前なので、どこにでもいるはずだとも言えます。しかしながら、先述のモーゼス・ブラウンの名前騒動によって「彼の苗字がブラウンでなくてはならなかった」ことが推察されるのです。
なぜなら、彼は今に至ってもこのシーンでしか出てきていません。特に意味が無いのであれば、名前を変更するにあたって、ただのモーゼスでも問題なかったのです。リアリティを捨てるなら、ブラウンが名前だと言い張っても良かったわけです。それをわざわざ「モーゼス・ブラウン」だとフルネームで言い換えたのです。
さらに言えば、名前の変更だけなら、顎の巨人であったマルセルでもされております。連載当時「ベリック」だった名前をコミックス発刊時に「マルセル」に変更されたそうです(理由は未だ不明です)。
すなわち作者の意図として、あの場面で「ブラウン」という名前を出しておきたかったが、後になって件のツッコミが入り修正せざるを得なかったと伺われるのです。そして修正後も「ブラウン」でなければならなかったということです。そこに1巻から現在まで登場し続けているブラウンさんがいる以上、その関連性を疑わないわけにはいきません。
普通に考えれば、ブラウンの一族の中に壁内に入った者もいて、その子孫がモーゼスだということでしょう。元帝国の巨人家がマーレにくだるよりエルディア王の下へと考えても、なんら不自然ではありません。
そしてこのことは、同様に巨人大戦で分断された多くの一族がある可能性を示唆しています。
話を戻しまして、一心不乱にマーレに尽くすことが人生の目的のようになってしまっていたカリナが、もし真実を知ったならどうなるでしょうか。
自分の家系は元は位が高く、没落させられた家であること(これは既に知っている可能性も無きにしもあらずですが)。悪魔・敵だと言い続けていた人々の中には、かつて分断された親族がいて、自分たちと同じように何も知らずに戦わされていたこと。
世界の見方が変わり、自分の過去の行いを省みるのでしょうか。
今まで目的達成の道具のようにしか接していなかった息子ライナー、そして今まさに命を捧げようとしている姪のガビ、子ども達の人生に目を向けるきっかけになるかもしれません。
【フーバー家】
これは根拠薄弱なのですが、ベルトルさんの祖先の誰かは、ユミルを祭り上げたインチキ(?)司祭だった可能性があります。
まずはこちら、ベルトルさんに似ていませんか?
さらにアニメでは2期にこのシーンが前倒しで挿入されたのですが、それがちょうどベルトルさんがユミルをおぶっているシーンに挟まっている上に、声が非常に似ています。おそらく声優さんが同じだと思うのですが、演技をほとんど変えていないと思われるのです(探したんですがこのモブ男の声優は公表されてないようです)。
左がユミルを拾った男(2期10話)、右がベルトルさん(1期3話)です。これは狙ってるでしょうね。
このベルトルさんの祖先も、ユミルと一緒に楽園送りにされたと思われますので、残された一族はグライス家のような立場になっていてもおかしくありません。ただフーバー家もユミルも現在関係者が残っていないので、作中で語られないかもしれません。可能性があるとすればポルコの記憶くらいですが、どうでしょうか。
余談ですが、ユミルとフーバー家の因縁を順を追って書くとこのような物語になります。
少女ユミル、ベルトルさん祖先に拾われ新しい人生を得る。祖先さんも羽振りの良い人生を得る
→マーレ当局の摘発にあい、ユミルは祖先さん達を助ける為に嘘をつくが、どちらも楽園送りにされ地獄へ
→約60年後、ユミルはベルトルさんの仲間を喰って、また新しい人生を得る
→ベルトルさんらを助けるためにもらった人生(命)を返す
ユミルはベルトルさん絡みで2度の新しい人生を得て、それぞれで助けようとするが一度目は失敗、二度目にてそれが叶うという、なんとも数奇な劇中劇となっています。既に完了している感じもあるので、やはり出てこないかもです。
【レオンハート家】
こちらはブラウンやグライスとは様相を異にします。アニ父の「現実離れした理想」とは未だ明らかになっていませんが、巨人の力が必要だったということでしょう。その何らかの目的のためにマーレに娘の命を捧げた、という点では他の家と変わりありません。異なるのはすぐにそのことの誤りに気付いたことです。
理想という言葉からはいくらでも妄想が広がるのですが、王家や巨人家の残党だったかもしれませんね。
ところでアニ自身はライナーのように精神分裂まではいかなかったものの、戦士と兵士のはざま、良心と罪悪感に圧し潰されそうになっていました。父との約束だけを唯一の心の拠り所として。
そんなアニが真実を知り父と再会することで心の中の矛盾と結晶が氷解するかもしれませんね。
【イェーガー家】
グリシャの父は疑ってかかると怪しい部分がたくさんあります。
クルーガーに賢いと評されている通り、かなりの切れ者と思われます。グリシャは子供だったのでマーレの犬としか読み取れていませんが、その実、あれだけ熱心なマーレ奉仕の姿勢は「言うな、この建物は壁が薄い」や「我々にできることは…この収容区でただ慎ましく、沈黙し…生きることだ」から、愚かさを分かっていて敢えて行っている、と読み取れます。カリナと異なり、家族を守る最善策をきっちり理解しているわけです。(でも最善策にとどまっていては何も打破できない、ということも作品中で描かれているのは面白いところです。あと、カリナも敢えてやっている可能性は残してはいます)
そして、息子夫婦が楽園送りにされるときのこの表情。あきらめのような表情にも見えますが、母と、獣の前任者(?)が泣いているのと対照的です。
さらに直近のエレンとの手紙の話です。彼が手紙のことをなぜ知っているのでしょうか。ジークから聞いた可能性はもちろんありますが。
そして入院してたのかは分かりませんが、精神壊れてるのかと思えば、エレンとの会話は年老いてなお頭脳明晰さを感じさせます。
そもそも開業医ということであれば、本人でなくとも先祖がフクロウと関わりを持っていた可能性もありますね。
これらの家族の物語は、記憶の解放によって動き出す可能性があります。
さらに、モーゼスの家のみならず、アッカーマンと東洋人の例を見れば、自ら145代目に付き従って壁内へ入った人々がいてもおかしくありません。その多くは憲兵に粛清されている可能性もありますが、中にはレベリオの民のように、沈黙して生きることを選んだ人々がいたとしたら・・
そんなことを考えてみました。
【アルミン・アルレルト】
アルミンは最初の3人組の一人でありながら、非常に謎が多い存在です。
まずもって家族が怪しいところだらけです。爺ちゃんは壁外の本を持っているし、親は気球作って壁外へ行こうとしています(両親については、当初の設定に変更があり、王政編にてアニメ版に沿った形で修正されたことが明らかになっていますので、そちらを事実として取り扱います)。
さらに預言者のような発言、アニメのナレーション、そして・・・タイバー家とよく似た鼻。
もしかすると、エレンとアルミンの対立ってけっこう洒落にならないレベルかもしれません。
アルミンについては後日しっかりと考察したいと思っています。
【エレン・イェーガー】
以前の考察でカルラはクルーガーと遠い親戚のつながりがあるのではないかと述べました。こちらをご参照ください。001 最新話からの考察 102話① ロープ兵の正体 - 進撃の巨人を読み解く
実はこれ、顔が似ていること以外にも強めの根拠があります。
ご存知の通り、エレンはクルーガーの記憶をかなり鮮明に、幾度も思い出しています。グリシャもその場にいたシーンが多いため混同しそうになりますが、決定的なシーンがあります。
グロいのでモザイクしましたが、フェイが嚙み殺されて、犬に囲まれているシーンです(22巻90話)。これはグリシャは見ていないですよね。グリシャは妹の死を知ったのすら翌日になってからですから。
おそらくクルーガーはエレンと別れた後、グロスを探しに行って、これを見たんでしょう。後にこれを復権派を通じてグリシャに伝えたのです。
次にこのシーン、
エレンはグリシャではなく、クルーガーに重なり合っています。つまり、エレンはクルーガーとの道の結びつきが強いということです。
あの「ミカサやアルミンを守りたいなら」というセリフも、未来のエレンがグリシャに言われている場面の記憶をクルーガーが見た、と解釈できます。
さて、このことはかなり恐ろしい可能性を生み出します。
クルーガーは王家の残党です。100%とは言えませんが、真の王家の血が流れている可能性があります。そして、その血がカルラも同様であれば、エレンにも真の王家の血が流れている可能性が生まれます。
さらにさらにその可能性を後押しするかのように、エレンはある記憶を見ています。
そう、フリーダの記憶です。しかもこれはヒストリアと接触して「記憶の蓋」がひらく以前です。後には、グリシャ vs フリーダの場面をフリーダ視点からも見ていますね。
これはとんでもないことで、エレンは座標の力を単体で発動できる可能性があるかもしれません。
-以下、妄想-
【ピーク・〇〇】
これは妄想というか、当てずっぽうの予想でしかありませんが・・
ピークちゃんの苗字が気になって気になって、さらにここ数話のピークちゃんの顔の描き方がどこかで見たことあるような気がして、むしろロープ兵どころじゃないくらい見たことある気がしてたんですが、もしかすると1%くらいの確率でこれかもしれません。
目の形が違いますが、鼻、口、アゴからエラの部分の描き方は似ているような気がしないでもなくなくない・・・
まあ確かにこの苗字は出せないよな~と思いますし、キャラ付けの方向性も合ってる部分あるなあと・・
無いな。
まあ、妄想です。
-妄想おわり-
本日もご覧いただき、ありがとうございました。
written: 12th Mar 2018
updated: none
007 最新話からの考察 103話① 要点チェック
みなさんこんにちは。
3/11 [時間]の項に訂正・追記しました。
ついに103話が公開されました。怒涛の展開でさっそく来月が待ち遠しい感じですが、今回は取り急ぎ気になる点をまとめておきたいと思います。
この記事は最新話である103話までのネタバレを含んでおります。さらに登場人物や現象についての言及などなど、あなたの読みたくないものが含まれている可能性があります。また、単なる個人による考察であり、これを読む読まないはあなた自身に委ねられています。その点を踏まえて、自己責任にて悔いのないご選択をしていただけますよう切にお願い申し上げます。あなたの選択とその結果に対して、当方は一切の責を負うものではありません。
※画像は全て 「進撃の巨人(諌山創著 講談社刊)」 より引用させていただき、個別に巻・話を表示しております。
[103話 強襲]
・ライナーの指
ファルコと本人を包む指のかたまり(少なくとも11本は確認できます)が冒頭に出現します。これはそこにあったのではなく、埋まっていたものが上がってきたようです。それからまもなく、ライナーの意識が無いことがファルコにより確認されています。
ライナーが地上に上がってから意識を失くしたのか、あるいは無意識のまま動かしたのか、他の何かなのか。エレンが巨人化してから少なくとも20~30分程度は経っていると思いますので、なぜ今出てきたのかということも含めて謎ですね。
ライナーの顔にはうっすら巨人化痕が出ていますが、そこから直接つながってはおらず、腕と下半身からたくさんの指を生やしている感じになっています。エレンやウーリがやってた部分巨人化のような感じなんでしょうか。
またこのシーンで巨人についての設定が一つ明らかにされました。
巨人の体の自動修復には、生きる強い意思が必要だということです。
・戦鎚 vs エレン
エレンの言う手札が何なのかが気になります。まだ巨人化できる、というだけではさすがにないと思います(思いたい)。また、戦鎚がかなり消耗してるのは間違いないでしょうが、本当に戦鎚に手札が全くないのかはまだ怪しいところですね。
ここで明らかになったのは、壁内勢は未だにアニの水晶を解除できてない可能性が高いことですね。
ところで、ミカサ達が装備しているブレードの替刃ホルダーが進化していました。上面が開いており、スライドして抜刀できるようになっています。太腿に沿って縦に装備しているので、刃を替えるには少し膝を落とす必要があるようです。
・ジーク vs 兵団
ジークの兵団への攻撃は非常に生ぬるく感じられると思います。何度か投石をしていますが、主に地べたをならしている感じですね。まあ、威嚇ということでしょうけど。一度だけジャンの部隊を狙った時は、散乱させずに線での攻撃となっている上、垂直方向に投げています。
立体起動は現在の戦場のような低い建物しかない場所では、横の移動はしやすいが、縦の移動に制限があることに配慮している感じかもしれません。シガンシナの時は騎馬兵たちをサイドスローであっさり仕留めていましたね。
さらに、獣から攻撃されたことに対しての、ジャンのとまどったような表情や、兵団員の「あの野郎許せねぇ!!」というセリフは、獣とは戦う予定では無かったことを示唆するかのようです。
・ジークの発言
「エレン・イェーガーは俺の敵じゃない」
2つの意味にとれる言葉ですね。
-エレンは弱いから相手にもならない、アッカーマンだけが脅威だ
-エレンは俺にとっては敵じゃないよ、味方だよ
ちなみに英語版だと「Eren Yeager is not my enemy」となっているようです。完全に後者なのですが、まあ直訳とも考えられるのでそれを根拠にはし難いところですが。ただ、その言葉を聞いたピークちゃんの真顔は気になりますね。先月に続けて2話連続です。
「出てこいよリヴァイ 時間が無いんだろ?」
兵団が時間を基準にした作戦を組んでいることをなぜジークが知っているのか、気になるところです。
・アルミン
待ちに待ったアルミンの登場ですが、マーレ調査船の行方不明を思い起こさせる登場の仕方でした。
また、アルミンも対人ベースの新型立体起動装置を身に着けています。
このシーンによって明らかになったのは、レベリオの位置です。
海から至近距離にあることが分かりました。グリシャやライナー達の渡航シーンを合わせて考えれば、大陸東岸であると考えて良さそうです。おそらくパラディ島に近いあたりでしょう。
であるならば、アルミンは敵の海上からの増援をつぶしつつ退路の確保をした、と考えて良さそうです。以前の考察でアニを連れてくるのでは、としていましたが、これは誤りでしたね。失礼しました。
・「時間」
兵団はある「時間」を待っており、それまでに制圧を完了しないといけないのは、先月から引き続きですね。さらにこの時間は現場からは動かせない時間ということですね。作戦の進行段階に合わせた調整ができないということは、伝達の方法がないということが考えられます。
また、元々は戦鎚とマーレ軍だった制圧対象に、今回は車力の機関銃が加わりました。車力ではなく、車力の機関銃です。これらを合わせて考えれば、時間になって起こる事は、空から降りてくる何か、で間違いなさそうですね。
ところで、制圧対象に投石のできる獣が含まれていないのは注目です。ジャンがこの指示を出したのは獣がリヴァイに倒される一瞬前ですので、そもそも対象外ということでしょうか。
そういえばレベリオには街灯が無いことに気付きました。設置した照明は降下作戦の目標だろうと考察しましたが、作戦の決行判断の伝達手段の意味もありそうです。
【追記 3/11】
一部、街灯がある通りもありました。訂正します。
・ジーク vs リヴァイ
満場一致で非常に怪しいですよね?
まずリヴァイ兵長ともあろうお方が、フリーの状態からにも関わらず斜めに削ぎにいっていますね。急所をはずれてるようにも見えなくもないです。
しかもリヴァイ兵長ともあろうお方が、自然落下にまかせて悠々と獣に着地、すぐに本人を引っ張り出して手足を落としたりもせず、ガビ達の顔を見ながら爆弾のピンを抜いて落とし、離脱してます。
全く殺す意図が感じられません。
それぞれの思惑はともかくとして、兵団とジークが全く繋がっていない可能性は無くなったと言ってよさそうですね。もし何も繋がりが無くてあれだとしたら、リヴァイさん日和りすぎです。
・ピークちゃん
前回から続くジークへの真顔が気になるピークちゃんですが、さらに気になるジーク呼び捨てがきました。
とっさに出た言葉なので、どうとでも解釈できるとも言えますが。
さて、今回までのピークの諸々を見るかぎりピークに裏とかはなく、兵団の分断の通り、ポルコと同じ立ち位置といった感じのようですね。後はジークとの関係、明かされていない苗字あたりが気になるところです。あ、あとパンツァー隊のおデブちゃんも少し気になります。
・ファルコとガビの葛藤、成長
ガビはこれまで、家族のため、自分のため、教えられたことを疑うこともなく、戦争の悲惨さを考えることもないまま戦いに身を投じてきた感じでしょうか。幸か不幸か、絶対的な巨人の力を持つ常勝マーレにいたことで人を殺すことへの現実感も無いままだったように思います。それが目の前で友人の死を見ることで憎悪を知り、さらに彼女にとっての力の象徴である獣の巨人、車力の巨人、マーレの海軍が壊滅させられていくところを目の当たりにしました。そんな中でも、体を張ってピークを守りにいくファルコの行動、今まで小馬鹿にしていたそれを見て、どう考え、どう変わっていくのか、このあたりは面白くなっていきそうです。
本日もご覧いただき、ありがとうございました。
written: 9th Mar 2018
updated: 11th Mar 2018
006 最新話からの考察 102話⑥ 壁の王
みなさんこんにちは。
9/27 追記:壁の王に関しまして、新たに記事を書きました。この記事を否定するものではありませんが、そちらをご覧いただくことをお勧めします。
今回は前回の続きになります。
005 最新話からの考察 102話⑤ 巨人大戦の真相とは - 進撃の巨人を読み解く
まだの方はこちらの前回分をお読みになってからご覧ください。
103話の発売日も迫り、次なる展開が気になるところですが、102話で既に兵団の予定が少し狂ってきているのでしばらく戦闘が続きそうですね。その間に物語の考察を進めていきたいと思います。
今回も仮定の上の仮定になってますので、妄想としてご笑読ください。
毎度のことですが、もしもこの推論が当たっていたなら物語全体のかなり重大なネタバレとなるかもしれません。どうかご承知の上で楽しんでいただければ幸いです。
この記事は最新話までのネタバレを含んでおります。さらに登場人物や現象についての言及などなど、あなたの読みたくないものが含まれている可能性があります。また、単なる個人による考察であり、これを読む読まないはあなた自身に委ねられています。その点を踏まえて、自己責任にて悔いのないご選択をしていただけますよう切にお願い申し上げます。あなたの選択とその結果に対して、当方は一切の責を負うものではありません。
※画像は全て 「進撃の巨人(諌山創著 講談社刊)」 より引用させていただき、個別に巻・話を表示しております。
[壁の王]
進撃の巨人では親子の物語がかなり重点的に描かれています。もちろん現実でも親子関係というのは個人の形成に大きい影響があるわけですが、進撃世界では親子関係がより意味の大きいものとなっています。それはこちらの設定によるものです。
・ユミルの民は道でつながっている
・血の繋がりは記憶の継承に強く影響する
私たちは主にエレンの体験を通じて、これがどういうものかを理解できます。
エレンは記憶を継承することによって、まるでその記憶の持ち主のように追体験をしています。それはあたかも父であるグリシャそのものが部分的に生まれ変わったかのようでもあります。当然エレンの考え方や人格形成にも影響することでしょう。
ですが、言うまでもなくエレンはグリシャそのものにはなりません。それは、後天的な要素もさることながら、遺伝的にも半分はカルラの血が入っているからです。その分だけエレンの遺伝情報はグリシャの遺伝情報から離れていると言ってよいでしょう。
仮にエレンに子供ができれば、その子とグリシャの遺伝情報はもっと離れていることになります。
さらに仮にジークにも子供ができたとします。
エレンの子・ジークの子とグリシャとの間の遺伝情報の距離は、大雑把に言えば同じと言ってよいと思います。二人とも祖父と孫の関係になるからです。
ただし本人同士の距離は、かなり離れています。
-エレンの子は遺伝情報のうち半分を、エレンの奥さんの遺伝情報が占めます。残りの半分がグリシャとカルラの混ざったものです。
-ジークの子は遺伝情報のうち半分を、ジークの奥さんの遺伝情報が占めます。残りの半分がグリシャとダイナの混ざったものです。
ラフに言えばこういう感じになります。共通点であるグリシャの情報が薄れていき、どんどん他人になっていることが分かります。
話を戻します。
進撃世界において、ユミルの民は、みな巨人化することができます。それはオリジナルであるユミル・フリッツから何かを受け継いでいるからです。すなわち、ユミルの民は、祖先をたどればユミル・フリッツにたどり着くと言ってよいでしょう。
-余談-
おそらくミトコンドリア・イブが設定の下敷きにありそうなんですが・・
ミトコンドリアのハプロタイプの最古のものの発祥が中央アフリカあたり、作中だとちょうどパラディ島から西に行ったマーレ領内なのが意味深です。詳しくは検索していただくと分かりやすい解説がたくさんあります。
-余談おわり-
さて、ここで問題になってくるのが、作中で重要視されている「王家の血筋」です。
全てのユミルの民がユミル・フリッツの血を引いているならば、一般人と王家との違いとはなんでしょうか。
まず王家と言われると、様々な物語などで特別なものとして描かれていたりして、そういうものなのかと思ってしまいがちです。でも現実を踏まえてよくよく考えてみると、王家というものはなんのことはない、「ある時代にたまたまトップに立った人間のその一族」というだけなのが分かります。たまたまは言い過ぎでしょうが、私たち一般人と変わらない、ただの人でしかありません。
日本は建国から天皇家がずっと続いてきている世界でも稀な国ですので、特に神聖視しがちかもしれません。イギリスの王室を見れば、現在ウィンザー朝と呼ばれる王朝ですが、実はまだ4代目で100年そこそこしか経ってません。(ハノーヴァー朝から続ける見方もありますが、それでも300年ほど)
中国は四千年の歴史といいますが、王家(支配者)としては毎回断絶を繰り返しており、別の国が入れ替わり立ち代わりあの地域を支配しているに過ぎません。王家とはその時々の勝者であるだけで、いずれ負けて王家ではなくなるわけです。
では、「巨人の力の真価を引き出せる」王家の血筋とは何なのか、
それが前述した、血縁の距離によるものではないでしょうか。
先ほど、血は繋がっていてもだんだんと遺伝情報が遠くなっていくことを述べました。
では、その中で一番ユミル・フリッツに近い遺伝情報を持つのはどんな人なんでしょう。
極端な例を挙げれば、一番はユミル・フリッツの子ども同士だけで交配を繰り返した場合になるでしょうか。ただ近親交配は弊害が大きいので現実的ではありません。だとすると、一番近いのはユミル・フリッツと同じ、エルディア人の血が濃いことではないでしょうか。つまりユミルの子孫と純血のエルディア人での交配を繰り返していくパターンです。逆に、他人種の血が入ると遠くなっていく、とも言えますよね。
王家はエルディア人の純血を保っている可能性が高いのではと思います。
さて、血の繋がりが記憶の継承に大きく影響する、つまり血縁が近いほど記憶が見やすいということは、逆に言えば血縁が遠いほど記憶が見にくくなる、ということになります。そして、始祖の巨人はその能力として巨人、ユミルの民を操る力があります。操るというのは、言ってみれば記憶や意志に干渉するということでしょう。であれば、記憶が見にくいならば、それに干渉して操ることもしにくい、と考えられるのではないでしょうか。
前回、壁の王は壁の民以外のエルディア人を操れなかったのではないかと推測しましたが、これを血縁に絡めて言えば、壁の王は一般のユミルの民との遺伝的距離が遠いのではないか、すなわちそれは、他民族の血が入っているということではないかと考えられます。もしそうであるなら、行動を振り返ればそれがマーレ人の血である可能性が高そうです。
では、壁の王にマーレの血が入っていたと仮定して、物語を見てみましょう。
ここからはさらに妄想度合いが強くなっていきますので、そういうものとしてお読みください。
まず、巨人化することに関しては、ライナーの実例があるので問題ないことが確認できます。
壁の民であるエルディアとマーレのハーフの人々は、壁内人口が現在100~200万人程度、壁の中の人達もいることを考えれば、100年間で増えたとしても元々それなりに大きい集団であるようです。かなり以前からエルディア帝国内に一定数がいたということでしょう。
ここでハーフと書いてて思い浮かぶのが、民族浄化の歴史です。クルーガーも言っていましたが、あくまで見方の問題で、民衆はほっといても勝手に交じり合っていくものだと私は思います。
ただ一点気になるのは、マーレが被支配国家であったことに合わせて、真の王家が純血のエルディア人だったと仮定するならば、人種によりある程度の身分差別があったり、そうでなくてもマーレ人の中に被害者意識を持った人もいたであろうことです。そうなると、ハーフの人々の立場にも危うさを感じてしまいます。
無垢巨人を兵器として使う際、もし純血エルディア人とハーフがいたら、どちらが選ばれるのでしょうか。
壁内で王政幹部がザックレーに言った、「お前のその血は奴隷用の血だ(16巻63話)」というのが繋がってくるかもしれません。
支配される立場の者がそれを覆すには権力を得ることが必要です。理想は自分たちの一族が王になることです。しかしながら、王家も血筋の怪しいものなど身内に迎えるわけありませんので、実現は難しいでしょう。国家の要職にすら就けない可能性が高いです。
では、もしそれが起こりうるとしたら、どんな方法があるのでしょうか?
ここで一枚の謎の挿絵をご覧ください。
こちらは、99話のヴィリーの演説中に突如差し込まれたイメージです。
これは演劇ではありませんので、作品中の誰かではなく、読者に見せているイメージです。ヴィリーの姿でも、聴衆でも良いこのシーンに、あえてこのイメージを入れているわけです。どうも、後で謎が解けてから見ると、ああなるほど、となる仕掛けがありそうです。
演説の内容を見ながらだと、確かに「145代が平和の願いを込めて不戦の契りを生みだす」イメージを感じさせます。
しかし、気になる箇所が一点あります。
親子の鼻です。
父は立派な鷲鼻(とでも言うんでしょうか)なのに対し、子どもは鼻筋が低く小鼻も小さく、鼻の頭だけぽっこり飛び出してるような・・
そういえば、ヴィリーの鼻もそういう感じのような・・・
もちろん、鼻は主に軟骨でできており大人になるにつれて成長するものですので、根拠としては薄いです。でも、このイメージの父親を144代、子供を145代とすると、血の繋がらない者を王位につける方法が思い当たります。
赤子の入れ替え、です。
まあ、不本意にも大変複雑な立場に置かれるわけですから、入れ替えられた本人はたまったもんじゃないでしょうが。
その本人の生涯とは、例えば・・
真の王や王妃、その家族の愛情を受けて育ったにも関わらず、いずれ自分にはマーレの血が流れていること、実の子ではないことを知ります。それは変えることのできない運命のように本人にのしかかるでしょう。マーレへの情も無くはないので、場合によっては、自分が王になった暁には人種差別のない国にしようと志すかもしれません。普通の人間の話であれば、それで丸く収まります。
しかし残念ながら、この物語では巨人の力の継承が絡んできてしまいます。
自分が巨人の力を完璧には継承できなかったため、戦争が勃発します。平和を望んだ彼自身が、結果的には戦争をもたらすことになったわけです。
育ててくれた王や先祖は巨人の力で戦争を防ぎ、平和を守っていたのです。それを途絶えさせてしまった罪深い我が一族、ならばせめて自分たちが犠牲となってでも罪滅ぼしをするべきではないか・・・
145代が壁にひきこもる理由になるかもしれません。
始祖の巨人の力が人々を争わせる、それなら無くなってしまえばいいんじゃないかと考えてもおかしくありません。しかし、世界から完全に失くすには全ユミルの民を絶滅させる必要があります。もちろんそんなことは望んでいません。ならばせめて人の手の届かないところに封印するのはどうでしょうか。
始祖の力を誰も使えないように自分の一族で継承して守っていく、だからこそ「私は今、死ぬわけにはいかないんだ(17巻69話)」ということなのではないでしょうか。
こんな戦争が起きたことに比べれば、多少の差別があっても以前のがましだった、そんな火種を作ってしまった「私達は罪人だ」、だからこの封印の檻から出てはいけない、ということなのかもしれません。
彼の子孫は、始祖の継承によってこれらの記憶を自分のことのように追体験することでしょう。それこそが「不戦の契り」なのではないでしょうか。
この人物像は、ヴィリーの演説後半とほぼ一致します。さらに、演説のほとんどが真実だったことになります。私は当初、演説はタイバー家に都合の良いように脚色されまくっていると考えていましたが、双方がそれぞれの立場である程度の真実を語っていないと、物語として成り立ちませんね。なんでもアリになってしまいますから。
壁の王は、一見なにかズレた平和思想を持っていたように見えていましたが、こうして考えると、過酷な運命に弄ばれながらも、自分のできる最大限の平和を模索していたのではないか、そんな風に思えるのです。
ウーリのケニーへの問いかけを思い出します。(17巻69話)
「滅ぼしあう他無かった我々を友人にしたものは一体何だ?」
人種や民族で争い続けてきた人類が、互いに相手を慮り、許し合うことで手を取り合える、そんな世界を夢想していたんでしょうか・・
「それでも私はあの時の奇跡を…信じている」
本日もご覧いただき、ありがとうございました。
written: 8th Mar 2018
updated: 27th Sep 2018