036 最新話からの考察 108話② 王家の血を引く巨人
みなさんこんにちは。
108話からのちょっとした気付きをもとに、ちょっとした仮説を立てました。正直なところ自分でもまだ考察が浅い感じがありますので、あくまで仮説として受け止めてください。地味な考察という感じが拭えないのですが、ある問題点が浮き彫りになるかもしれません。
また、この記事は以前 032 エレンの場合 で座標の力、すなわち始祖と王家の力について推測したことに誤りがあったようなので、その訂正も兼ねております。
この記事は最新話である108話までのネタバレを含んでおります。さらに登場人物や現象についての言及などなど、あなたの読みたくないものが含まれている可能性があります。また、単なる個人による考察であり、これを読む読まないはあなた自身に委ねられています。その点を踏まえて、自己責任にて悔いのないご選択をしていただけますよう切にお願い申し上げます。あなたの選択とその結果に対して、当方は一切の責を負うものではありません。
※画像は全て 「進撃の巨人(諌山創著 講談社刊)」 より引用させていただき、個別に巻・話を表示しております。
[王家の血を引く巨人]
きっかけは108話のアルミンの推測です。
まず、以前の私の推測とは、始祖と王家の血が合わさって真価が発揮されるならば、始祖と王家それぞれの力は分けて考える必要があるのではという前提のもとで、”全ての巨人を操り支配する始祖”を持つエレンが王家ダイナに触れて座標が発動したことから、始祖が巨人を操る力を持ち、王家が「道」にそれを流すのだろう、というものでした。
おそらくコレ、勘違いしていたようです。いや、勘違いさせられていたのかもしれません。
始祖の巨人が”全ての巨人を操り支配する”ということは、複数の証言がありますので作中の事実と言って良いでしょう(21巻86話、25巻99話)
さらに、始祖の巨人と王家の血筋が合わさると始祖の真価が発揮されるということも、エレンの座標発動やジークの口ぶり、ヴィリーの演説から事実であると考えられます(27巻107話)
これらを踏まえて以前の推測に至ったわけですが、今回のアルミンの推測は、以前の推測とある程度の合致を見せています(108話)
-つまりダイナの巨人は「始祖の力」を呼び出す触媒であっても命令を下す方ではない
-命令を下したのは始祖を持つエレンだ
”道に送る”としていたところを触媒と考えれば、ほぼ文脈としては一致しています。
でも裏付けられた感じが無く、何か引っかかりを覚えたのは、アルミンのむちゃくちゃ理論のおかげかもしれません。
私は、上記のヴィリーの演説などから”始祖の巨人が全ての巨人を操れる”、つまり始祖の力こそが巨人を操る力だと思い込んでいました。たぶんこれがミスリードです。
おそらく、それぞれの役割が私の推測とは反対になるのではないかと思います。つまり、王家の血筋が巨人を操る方で、始祖の巨人は「道」に流す方ではないかと思います。
1つめにして最大の根拠は、ジークです(23巻93話)
ご存知の通り、ジークは自らの脊髄液を投与されたユミルの民を操ることができます。そしてそれは、今までの獣の巨人には無かった能力です。つまり、巨人を操る力は王家の血筋が由来と考えるのが自然です。なんでここの矛盾に気付かなかったんだろうというくらい、簡単なことでした。以前からジークの力は気になっていたのですが、始祖が巨人を操るという観念に囚われていたためにジークを”例外”と考えていました。コニーにバカと言われても返す「え?」もございません。
2つめの根拠です(12巻50話、15巻62話)
座標の発動シーン、そして幾度かのエレンが記憶を思い出すシーンでは電気が流れる表現がなされていました。この電気は、「道」を通じて何かが流れてきたことの表現だというのはほぼ確定事項でしょう。
逆に、ジークが無垢巨人を操る際に電気の表現がされたことはありません(23巻92話)
わざわざ言葉や叫び声などで指示を出していることは、王家の血には「道」へ流す作用が無いことを示唆しているのかもしれません。
つまり、「道」に電気を流すのは始祖の力と考えられると思います。
3つめの根拠?です。
じゃあヴィリーたちが言ってることは何だったんだということになります。
でも、彼らも嘘は言ってないんです。彼らが言っている始祖の巨人は全て、王家に所持されていたと考えられるからです。
今まで王家以外が始祖を所持したことがないのかは、100%否定することはできません。しかしながら、エルディア帝国の建国以来、王家が始祖を継承して今に至ることはほぼ間違いない事実です。ということは誰も、始祖と王家が別になったシチュエーションの経験がない可能性が高いです。つまり人々が言っていた始祖の力とは、王家が持った時の始祖の力を言っているにすぎないということになります。
さて、これらを踏まえて見ると、108話のアルミンが言う”決定権”はさらに不安な要素を増していきます。ただでさえ、ダイナ巨人という意志が無さそうな相手を例に挙げていることに加えて、始祖側が命令権を持つというアルミンの推測は間違っている可能性が高くなるわけです。
”道に流す側”であるエレンが王家側の命令を止めきれるのか、エレンの意志が少しでも反映されるのかというところは、作者次第なので分かりません。なんとなく、ライナーのところで出てきた”強い意志”というのが絡みそうな感じもしていますが、根拠はありません。
ジークは無垢巨人を操る経験がある上に、あの口ぶりから察するに、このことをおそらく知っているでしょうし、それを踏まえた計画になっているでしょう。エレンを出し抜こうと思えばできそうに思います。それをするかどうかは、目的がはっきりしてないところと兄弟の情がありますのでまだ分かりませんが。
多分、一番まずいのは実際は逆なのに、「エレンに決定権がある」って思ってることなんでしょうけどね。
ところで、今回の考察が正しいと仮定したとしても、前述の通りどちらが”決定権”を持つのかはっきりさせようがありませんから、たいした意味はありません。ただ、全く別のことに関してとある一つの疑惑が浮上します。
それがアニの家系です。
作中ではアニの能力なのか、女型特有のそれなのか明確にされてませんので分かりませんが、前者であるならアニに王家の血が少し流れているということになるかもしれません。「父の現実離れした理想」という言葉を深読みするなら、あながちあり得ないことではないような気もします。こちらも追加の情報待ちではありますが。
-あとがき-
あ、ところでネット界隈では割とエレンの”暴走”が話題にされていて少し違和感を覚えていたのですが、今回の件でそれが少しわかってきた感じがしてます。
私がアルミンと同じ目線で「始祖は全ての巨人を操るものだ」とミスリードに乗せられていたように、調査兵団の目線で見ているとエレンは”暴走”になるのかもしれません。これもミスリードを狙ってる感じがしなくもないですね。私は最近読み始めた読者なのが幸いした、のかな?
105話から108話を見ていただくと分かるのですが、”今のところ”エレンの独断を咎める風潮なのって調査兵団の中心人物たちだけに見えます。具体的に名前を挙げると、ハンジ、リヴァイ、ジャン、アルミン、コニーです。ミカサが板挟みになってる感じで、サシャの立ち位置は不明です。あれ、これだけ?って思いませんか。
今回描かれたあの保身的で口の悪い憲兵たちですら、誰もエレンがどーだこーだとは言ってませんでした。むしろジークが来ることは既定路線かのような口ぶりです。ヒストリアの話で持ち切りだっただけかもしれませんが、”暴走”だとしたらヒストリアよりエレンの方がよほど致命的なんですが・・
街の人々は戦勝報道に歓喜し、調査兵団の兵士たちも同様でしたね。エレンは収監されていますが、審議所の時のような憲兵などによる監視もないようです。シガンシナ後と同様、調査兵団の懲罰房といった感じに見えます。
自分の説の裏付けをするわけでもありませんが、エレンを咎めている人は誰かに近い人だけってことになるかもしれません。もちろん今後反証が描かれる可能性は否定しませんが。
個人的な意見ですけど、ジャンやコニーが「あいつに巻き込まれた俺達は被害者だ」みたいなイタいことをナチュラルに言うと思えないし、言ってほしくないんです。だって何もしなかったらいずれまた攻撃されるのはグリシャノートなんかから分かってるわけですし、フロックはちゃんとそれを言ってましたよね。そこまで分かった上で言ってるんだとしたら、「俺達は安全なところで何もしないけど、(みんなが生き残るために)敵と戦うならお前ひとりでやれよ、巻き込むなこのヤロウ」って意味になっちゃいませんか?
バイアスがかかってると思う(思いたい)んですよねぇ・・
エレンの考え方という意味でも、物語を通して少しずつは変わっていってますが、そこまで大きな飛躍は感じません。1年前の鉄道の敷設を”進んでやったこと”に、それは描かれていると思っています。
言葉が足りない部分は否めない感じはしますけど。
とりあえず今後のエレンにとっての最大の脅威は、この風潮が島内全部に広がってしまうこと、になっていきそうですね。
あ、これは 027 ダークサイド を踏まえた話をしています。今回からご覧になっている方はそちらも見てみてください(と宣伝みたいなことをしてみる)
-あとがきおわり-
本日もご覧いただき、ありがとうございました。
written: 15th Aug 2018
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