進撃の巨人を読み解く

進撃の巨人はSFを下敷きにしたヒューマンドラマだ・・と思う

019 最新話からの考察 104話③ ヒトを感知するモノ

みなさんこんにちは。

 


ここ数話のマーレとの戦闘で、その精神的な成長を描かれているエレンですが、巨人の力のコントロールにもかなりの飛躍が見られるように思います。そこに気になる点があり、今回の考察に至りました。とはいえ、現状ではたいした事柄でもないのですが・・

また、正直なところ私も半信半疑なので、そのつもりでお読みいただき、一緒に考えていただけたらと思っております。

 

4/28 タイトルをちょっち変えました 

 

最新話のネタバレを含んでおります。別マガ5月号、104話をお読みになってからご覧ください。

 

 

 

 


[ヒトを感知するモノ]

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海に出てから3年間という空白の間に、作中でいう”巨人の練度”が向上しているのは誰もが感じていることと思います。今回それを見せつけたのが、戦鎚との戦いで手札を残した、つまり巨人化の回数を重ねられるよう力をセーブした、ということでしょう。このことは、エレンの巨人には修復する様子がほとんど見られなかったことからも分かります。蒸気がまともに上がったのは、うなじから抜ける際の3回だけに見えます。修復をしないことによって力をセーブしていたと推測できます。

それと同時に、本人が加齢とともに成長して、またその自信からか、とても落ち着いた精神状態になっているのは分かります。特にミカサへの信頼などはそれが出ていると思います。

以前のエレンなら、ミカサと戦鎚を戦わせながら落ち着いて攻略法を考えることなどできなかったでしょう。それは兵団の他の皆に対しても同様で、エレンは今回、おそらく彼の作戦上の役割である”戦鎚の無力化”以外のことはしていません。同様に兵団員たちも、彼らそれぞれの役割以外のことに手を出そうとしていませんね。以前の調査兵団と比べても、より統率が取れているように感じますし、お互いの揺るぎない信頼関係のようなものも感じられます。フロックがやや暴走してはいましたが笑

話を戻しまして、エレンの巨人での戦いにフォーカスしてみると、硬質化パンチくらいしか繰り出しておらず、前述の”力のセーブ”以外はたいした変化を感じられません。まあ特別なことをやっていないこと自体が、”力のセーブ”の一部なのかもしれませんが。

ただ、巨人化状態には限らないのですが、もしかしたら新たな能力なんじゃないか、と思わせるシーンが、チラホラ見られるのです。

 

 


今回は先に私の推論から書きます。

 

 

 

それは、他者の意思を読むというか、感じることができるのではないか、ということです。

 

 

どういうことか、説明していきます。


まず最初に違和感を持ったのは、このページです(25巻102話)

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ご存知の通り、獣の巨人がやや遅れて現場に到着した際の、各人の表情が描かれたシーンです。その流れは以下の通りです。

-ジークも到着したことを喜ぶかのようなポルコ
-思うところがあるかのようなピークの真顔
-同じく思うところあり気なマガトと兵士たち、ほっとした表情を見せる者も
(中略)
-ちょっとまずいとでも言うような表情のエレン

このエレンの表情は、普通に受け取れば、獣が来たことをまずいと思っている表情に見えます。あるいは、ジークが内通している前提でも、まだ戦鎚を無力化できていないうちに獣が到着してしまったことで、予定が狂っている現状をまずく思っている表情に見えます。

もちろん、ただそれだけでも問題は無いのですが、どうしても深読みしたくなってしまうのが(中略)の部分です。ジーク登場と各人の反応という流れの中に、突如差し込まれたガビの現状、これがエレンのコマと順番が逆だったら、全く問題ないんです。でも、”なぜか”このシーンが先に挿入されていることで、エレンはあたかもガビのセリフに反応しているようにも見えてしまいます。

 

 

いかがでしょうか?ガビがここに挟まっていることに違和感を覚えませんか?


もしもこの時、離れた場所にいるガビの強い殺意を感じ取っていたのだとしたら・・

 

 

ここで、いくつか同様の解釈ができそうなケースを見ていきましょう。

 

・ケース2(25巻100話)

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-その通りだ

 

ファルコは心の中で、始祖を取り押さえるチャンスだと考えていたところ、エレンの「その通りだ」という一言で驚愕の表情を見せます。ファルコは心を読まれたのかと思って、驚いたわけですね。ただし、その後のエレンのセリフも含めて、「その通りだ」はヴィリー・タイバーの演説の言葉に自然に繋がっており、また、その後のエレンの話がファルコにとっては強烈な内容だったため、当初の疑惑は忘れ去られています。果たしてこれは、ファルコの勘違いだったのでしょうか。

 

 


・ケース3(25巻101話)

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-今だ ミカサ

 

これは未だに謎に包まれたセリフです。通常の解釈としては、エレンからはミカサが見えていた、または、作戦で最初からこのタイミングを決めていた、といった感じでしょうか。どちらもやや強引な感じが否めません。エレンからミカサまではだいぶ距離がありますし、仮に立体起動の軌跡が見えたならマガトたちも気付いておかしくないようにも思えます。タイミングを事前に決めておけるような動き方もしてないように見えます。つまり、ミカサが機を窺っていることを察知したのではないでしょうか。

 

 


・ケース4(25巻102話)

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水晶化したヴィリー妹を食べようとしていたエレンは、顎が背後から飛びかかってくる瞬間、あるいは一瞬前にそれを察知しているようです。漫画の表現で言えば、時系列はエレンが一番早いはずです。マガトの反応と比べると、顎が飛び掛かる前後に対照的になっているように見えます。同時、という表現にも見えますが、顎は背後から飛び掛かっているので、少なくともエレンからは見えないはずですよね。それに対処をしていないのは、顎が速すぎたのか、リヴァイへの信頼でしょうか。

 

 


・ケース5(26巻103話)

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「エレンは敵じゃないんだよ」と言うジークに、あたかも「戦鎚はちゃんと無力化したよ」と見せているようにも見えます。まあこれは声が聞こえているってことなのかもしれませんが、その真意をちゃんと受け止めている、とも解釈できるように感じます。その後はご存知の通り、”準備は整った”と言わんばかりにジークがリヴァイに倒されるわけです。この解釈をすると、一連のシーンはエレン、ジーク、リヴァイの3者が以心伝心で会話をしているようにさえ見えてきます。

 

 


どれも根拠としては弱いものばかりなんですが、特に3番目のミカサのケースなどは、エレンが何かを察知していると考えると、自然なシーンになるように思います。

意志とか記憶が絡むとなると、やはり道が絡んでいるのではと推測できます。となると、エレンが行っているだけに始祖の力なのかと考えたのですが、実は他にも怪しいシーンが出てきました。

 

 


まずはジークです(25巻100話)

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ヴィリー・タイバーの演説「エルディア人の根絶を願っていました」に反応するかのように抜かれている1コマです。ヴィリーの語っている心情はおそらく本心ですので、その強い想いを感じ取ったのでしょうか。これは考えすぎで、戻るタイミングをただ窺っているだけかもしれませんが。

 

 


次にピークです(26巻104話)

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雷槍による攻撃で息も絶え絶えだったはずのピークですが、ジャンがとどめの雷槍を放つ瞬間、それに応じたかのように車力の目が見開かれ、ピークの排出で蒸気を上げました。これはファルコを守る行動(同時に自分も守っている)であることはおそらく間違いありません。次の攻撃に”本体”が無防備になるリスクはありますが、体を動かせる状態ではなかったため、ベストの方法だったとは思います。しかしこれは、車力の視界からはジャンは死角になるでしょうから、見て行っているわけではないはずです。つまりジャンの意図を感じて対応したと考えられるのではないでしょうか。

 

 

そしてその後、ガビとファルコがライナーに助けを求める声を聞くかのように、目を開きます(26巻104話)

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同様に解釈すれば、瀕死のピークは彼らの強い想いを感じ取って、意識を戻したのかもしれません。もしかするとピークも心の声でライナーを呼んでいたのかもしれませんね。

 

 

エレンに限らずできるとするなら、これは知性巨人の能力なのかもしれません。記憶の例から、知性巨人化が道との繋がりを強めることは確からしいので、彼ら継承者は道を通じて他のユミルの民の強い想いのようなものを感じ取ることができるのかもしれませんね。そしてガビは純粋なだけにその想いがとても強い・・とか。ガビの殺意を感じての、エレンのまずいという表情には、思い当たることがあります。別にガビ自体は子供ですし、脅威ではないのですが、おそらくまずいのです。このへんはまた別の考察で書いてみたいと思います。

もしかしたらエレンがファルコに「その候補生は女の子か?」と聞いたこともこれで説明できるかもしれません。そして、104話でエレンがライナーを待っていたかのように見えることや、ポルコを守るために巨人化したライナーを「今は殺せやしないだろう」とあっさり引いたことも、ライナーの意思を感じてのことかもしれません。

 

最後に補足しておくと、ミカサのケースはやっぱり謎が残ります。アッカーマンは記憶改竄ができないのだから、道と繋がっていないのではないか、ということです。確かにそうかもしれませんし、そうではないかもしれません。「巨人化学の副産物」と呼ばれ、常人ならざる能力を持っている以上、何らかの巨人要素が絡んでいることは間違いないわけです。現状では答えの出ない問題ですが、もしこの考察が正しかったならば、道やアッカーマンの仕組みのヒントの一つになるかもしれません。

自分で読み返してみても、やっぱり根拠が薄いと言わざるを得ませんが、104話の最後に、最初のケース同様の強い殺意をガビが飛ばしていると思いますので、次回で何か反応があるのか、楽しみに待ちたいと思います。無かったら・・この考察は無意味かもしれませんね笑

 

 

 

-あとがき-

書き終えてタイトルを考えてて、”意思の感知”とかかなー、ってやってて思いつきました。これって、無垢巨人の特性に絡んでるかも?

無垢巨人は人と知性巨人を感知して喰らいます。動物や他の無垢巨人には反応しません。人や知性巨人と無垢巨人を分けるものは、意思のあるなし、と言えるかもしれませんね。

 

 


本日もご覧いただき、ありがとうございました。

 

written: 27th Apr 2018
updated: 28th Apr 2018