みなさんこんにちは。
114話の内容にほとんど触れていなかったので、少し状況確認をしておきたいと思います。
この記事は最新話である114話までのネタバレを含んでおります。さらに登場人物や現象についての言及などなど、あなたの読みたくないものが含まれている可能性があります。また、単なる個人による考察であり、これを読む読まないはあなた自身に委ねられています。その点を踏まえて、自己責任にて悔いのないご選択をしていただけますよう切にお願い申し上げます。あなたの選択とその結果に対して、当方は一切の責を負うものではありません。
※画像は全て 「進撃の巨人(諌山創著 講談社刊)」 より引用させていただき、個別に巻・話を表示しております。注記の無いものは全て114話からのものです。
[反兵団破壊工作組織]
反兵団破壊工作組織ことイェーガー派の先導者であるフロック・フォルスター、彼はその名の通り強運で命を繋ぎ止めました(20巻81話)
”まぐれ当たり”というだけあって、もともとはごく平凡な考え方の持ち主だったと思われ、訓練兵団卒業後も無難に駐屯兵団を選んでいます。しかし時局の流れに乗って、そして思春期特有のアレかもしれません、「みんなのため」に調査兵団入りを決めたのでした(20巻80話)
-誰かを犠牲者にさせないために
-自分を犠牲にできる奴が必要なんだってな…
-そんな勇敢な兵士は誰だ?
-…そう聞かれた時
-それは俺だって…
-思っちまったんだ…
本人も言っている通り「自分だけは(他の奴らとは)違う」、自分はみんなを救えるんだと思ってしまった、いや思いたかったんでしょう(20巻80話)
-どうせ死ぬなら…
-どうやって死のうと
-命令に背いて死のうと…
-意味なんか無いですよね…?
死に直面した彼は「生きたい」という率直な個の欲求をさらけ出しますが、抗いきれずに「みんなのため」の決死作戦に身を投じました(20巻80話)
-あの兵士に意味を与えるのは我々だ!!
運が良かったのか悪かったのか、たった一人だけ生き残ってしまった彼は「生きる意味」というものに強く囚われていきます。よりによって自分のような臆病な人間だけが生き残ってしまった、そんな後ろめたさがあったかもしれません。その罪悪感のようなものを誤魔化すために「生き残った意味」が欲しいのです。自分は役割があったから生き残った、だから生き残ったことは正しい。
もちろん客観的に言えば彼が生き残ったのは運が良かっただけ、ただそれだけです。意味など全くありません。でも人間は自身のことに関してはなかなかそう思えないんですよね。なぜなら理屈ではなくて罪の意識から逃れるために無意識から湧き上がってくる感情だからです。そして同僚たちに死んだ意味を与えるため、そして自分の意味を残すため、みんなの役に立つことが人生の目的になっていきます。その根っこには解消できない罪悪感があるため、より強い衝動に駆り立てられていくのでしょう。
かつてはエレンも同じような感情に囚われた時期がありました(3巻12話、17巻68話)
-オレは…ならなきゃいけないんだ…
-みんなの希望に…
-どこかで自分は特別だと思っていたんだ
-だから他の兵士がオレのために死ぬことも
-「仕方が無い」って受け入れた
エレンはその後、母の無条件の承認などによって「特別である必要なんてない」ことを実感し、持ち前の自己肯定感の高さも相まってか個の考え方に戻っていきます。そんなエレンにフロックは言い放ちました(22巻90話)
-何だって自分が一番正しいって思ってんだろ?
これは正論っぽいですがブーメランというか、誰だって自分が正しいと思っているのは当たり前です。ただ違いがあるとすれば、エレンは自分が正しいと信じることを主張していますが、フロックは「みんな」にとって正しいと考えられることを主張しています。そのためフロックの方が正論っぽく聞こえてしまうのでしょう。実際は単に判断の基準が違うだけなのですが、全体思想のフロックから見ると個のエレンは異端として悪目立ちするんだと思います。善と悪、好きと嫌いは表裏一体、悪目立ちは自身の都合と合えば良い目立ち方に変わり、偶像化していくんだと思います。ミカサやアルミンも似たケースかもしれません。壁内がエレンを恐れたり英雄視したりというのも、こんな感じなのでしょう。
フロックはこう言っていました(25巻102話)
-エレンは示した
-戦えってな
-俺達は ただ壁の中で死を待つだけじゃない
同じくイェーガー派に属するルイーゼもこう言っていました(27巻109話)
-力が無ければ何も守れないと
-私たちは理不尽な暴力と
-戦っていいのだと学んだんです
彼らの考えは、かつてエレンが言っていた思想に共鳴するものです。
勝てなきゃ死ぬ
勝てば生きる
戦わなければ勝てない
戦う姿勢の見えない兵団に反旗を翻したことも、無理からぬことだったのかもしれません(27巻109話)
-その勝利とは「地鳴らし」という圧倒的な力であり
-我々の生存権です
-エレンは我々「新生エルディア帝国」
-国民全員の命を救いました
さて、ハンジとの会話から考えても、彼らの目的は「地鳴らしを使って生きる権利を勝ち取る」ということに尽きるのではないかと思います。その必要条件は以下の三つ。
エレン(始祖の巨人)
ジーク(王家の血を引く巨人)
シガンシナ区(試験運用の地として)
実際のところ、もし試験運用に成功さえしてしまえば、兵団のほとんどが手の平を返すことも想像に難くありません。そういう意味ではナイルたちが名付けた”反兵団”破壊工作組織という団体名は皮肉にも的確で、フロックたちは煮え切らない兵団に反抗しているだけで、その目的は全体の生存です。それに民衆が迎合するのも自然な流れだと言えます。
とはいえ「みんなのため」は、その「みんな」にも犠牲になることを強要したりするわけですが・・
それはさておき、少し114話の話をしましょう。
川は向かって左から右へ流れているように見えますので、兵長は川上へ向かって移動していたと考えられます。改めて言うまでもありませんが、壁内は中央に行くほど標高が高く、そこから四方に川が伸びていて、それに沿って街道と突出都市がある構造になっています。もちろんその川なのかは定かではありませんが、川上の方角が中央方面であることはおそらく間違いなさそうです(28巻113話)
前回の日が沈む方角から、兵長は南に移動していると推測できます。もちろん川が蛇行していれば方角は分からなくなりますが、わざわざ夕日を描いた上でそういう嫌らしい引っ掛けがあったことは今まで無かったように思います。そして南が川上であるとするなら、こういうことになります。
雑な地図ですみません。警戒対象であるジークを王都周辺で軟禁するというのは考えづらいので、彼らの居場所は少なくともオルブド以北(赤で示したどれか?)と推測できます。これは以下の話とも合致します(28巻112話)
-エレンをこの森へ案内する道中に
-打開策を巡らせております
先述したようにシガンシナ区は地鳴らしの重要地点であり、イェーガー派が向かう可能性が高い場所です。これは兵団側にも容易に想像できるはずです。でもシガンシナ区ではほのぼのと109期の訓練が行われており、イェーガー派は易々と兵団支部を制圧できました。それによって彼らは三要件の一つと、拠点と武器を一挙に手に入れたことになります。もしシガンシナ以南の壁外などにジークがいるのであれば、立体機動の使えるシガンシナ区で仕掛けるのが合理的だと思います。つまり、これより南ではない可能性が高そうです。
ニコロのレストランの場所は定かではないですが、憲兵幹部がよく使っていたこと、おそらくそれほど時間がかからずにシガンシナ区まで移動できてることから、トロスト区かエルミハ区あたりではないかと考えられます。そこからシガンシナまでの道中にジークの居場所があるのであれば、フロックたちが先に立ち寄ってもおかしくありません。
北側であればこれらは問題になりません。兵団としてはジークさえ守れば問題ないと考えていることになるでしょうか。
ところで兵長は中央あたりにいるピクシスのもとへ向かっていたのではないかと想像しますが、一つ気にかかることがあります。もしも彼らのいた巨大樹の森がオルブド区北、ウォール・ローゼ内だったとすると、その東側にはレイス領があることになります。
もちろんヒストリアの居場所は定かではありませんが、レイス領はその候補として充分に考えうる場所です。ということは、ピクッがそっちへ行く展開も起こり得るかもしれません。
ピクッといえば、ジークか兵長が襲われるかもと書いてましたが、それは無さそうな感じがしてきました。
自己再生の速度は良く分かりませんが、既にかなり再生してます。周囲が暗くなって雨も降っていることからも、113話から少なくとも小一時間は経っていそうです。であれば二人はおそらく大丈夫でしょう。
兵長の容態に関しては大方の予想と同じで、回避行動には入っているけどダメージを負っていると思います。右足はなんとも言えませんが、右腕はかなり怪しいと思います。もし片腕を失ったら対巨人としては戦力外でしょうか。削げませんからね。ただ、少なくともまだ死ぬことは無いでしょう。たぶん兵長はもの凄く大きな役割が与えられたように思います。
それは「安楽死」というキーワードを誰かに伝えることです。
おそらくこれがパズルの大きな1ピースになるんじゃないでしょうか。ハンジやアルミン、104期がこれを知ったら、全てが綺麗に繋がりそうです。
だから何も言わなかったんだ
だから俺達を巻き込んだんだ
だから仲間が死んでも笑ってられるんだ
だから脊髄液を撒いて巨人にすることも平気なんだ
さらにイェーガー派の目的が前述した通りであるなら、彼らの立ち位置も変わってくる可能性が生まれてきます。彼らは生きるために戦っているはず。前述した通りフロックとエレンはそもそもの判断基準が異なっています。エレンも生きるために戦っているとは思いますが、フロックにとってそれが全体のためでないと認識されれば、エレンは再び悪目立ちし始めるはずです。
フロックは現状もの凄く重要な立ち位置にあると考えられます。もし彼が翻意すれば多くの兵士がそれに追随するでしょうし、民意も動きかねません。兵団が押され気味という現在の勢力図がひっくり返る可能性がフロックには秘められています。”兵団が二人を警戒していたのは正しかった”みたいな流れになるかもしれません。
「安楽死」が決定打になるのかはまだ分かりませんが、イェーガー兄弟がエルディアの敵であるという一枚の絵が完成しつつあるように思えて仕方がありません。
そういえばピークちゃんが読んでいた新聞は、「エレンを解放しろ」という動きがあった頃のものです。もしシガンシナ退去令についても書かれていたとすれば、勘のいいピークちゃんはシガンシナに潜伏しているかもしれません。役者は揃った、感じでしょうか。
-おまけ-
今回1200年前という中途半端な時期の歴史が開示されました。始祖ユミルの出現から600年~800年程度経っていることを考えれば、エルディア帝国の侵略・支配がそれほど苛烈では無かったという証拠になるかもしれません。今までの情報では1800年ほど前に古代マーレはエルディア帝国に滅ぼされたと考えられていたからです。もちろん国体を失っても多くの民衆が残るのは当たり前ではありますが、殲滅も民族浄化もされてない”マーレ人の都市”が存在していたかもしれないわけです。
しかもこの絵を信用するならば武装して戦っています。つまり単純に被支配民を虐殺したということではなさそうですが、ちょっと現状ではどういう意味を持つのか分からないですね。
ところで既にご存知のことと思いますがラーゴ、モンテ、ヴァレはそれぞれ湖、山、谷という意味もあります。私はこれを聞いた時になんとなくこれが思い浮かびました(2巻「現在公開可能な情報」より)
もちろん湖も山も大陸には腐るほどあるでしょうから、全然違うかもしれませんが。ウトガルド城とかも関係ありそうと言えばありそうな感じがします。
ところでジークは窮鼠猫を噛む感じだったわけですが、いっそのこと混乱を企図して全員を巨人化させてたりしないかなという妄想もできます。
ファルコが巨人化したら建物が崩れて104期やガビが外へ出られる、と。
-おまけおわり-
本日もご覧いただきありがとうございました。
written: 27th Feb 2019
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