024 最新話からの考察 106話① 要点(以外)チェック
みなさんこんにちは。
今回は非常に考察欲をかきたてる一話です。これだけ一話の中に多くのものがつまっている作品もなかなか無いと思います。最初に読み終えた時は「あれ?もう終わり」といつもより短いのではないかと勘違いしたほどです。矛盾しているようですが、それほどのめり込んでいたのかなあと思っています。普通は戦闘シーンとかの方が短く感じるものですが、最近の数話でその感覚はありませんでしたから。
この記事は最新話である106話までのネタバレを含んでおります。さらに登場人物や現象についての言及などなど、あなたの読みたくないものが含まれている可能性があります。また、単なる個人による考察であり、これを読む読まないはあなた自身に委ねられています。その点を踏まえて、自己責任にて悔いのないご選択をしていただけますよう切にお願い申し上げます。あなたの選択とその結果に対して、当方は一切の責を負うものではありません。
※画像は全て 「進撃の巨人(諌山創著 講談社刊)」 より引用させていただき、個別に巻・話を表示しております。
[106話 義勇兵]
ようやくパラディ側に視点が戻り、ここに至る経緯が描かれ始めました。”溝”は、想像以上に深く、かなり以前から横たわっていたようです。
※今回はいつもとは異なり、要点であるアルミンとエレンのことには少ししか触れていません。もちろんそこが最も重要なわけですが、書いていたら長くなったので次の記事に分けさせていただきました。
それでは、項目別にみていきましょう。
・事の始まり
シガンシナ戦が終わって約1年が過ぎ、兵団が海へ到達した22巻のラスト、今回の話はその少し後から始まっている模様です。
兵団はキャンプを張って敵襲に備えていたようです。おそらく”境界線”に近い南側だとは思いますが、場所ははっきりしていません。そもそも”境界線”には港とまでは言えませんが船の着岸設備がありましたが、新たに港を作っていることから”境界線”は破壊した可能性もありますね。忌避すべき場所ですし。
24巻98話でライナーが「南沖で~」と言っていることからも、おそらく”境界線”の近く、手前あたりで待ち構えていたのではないかと推測ができます。マーレが来る場所を推測しようとしたらここしかありません。
ちなみに”境界線”は日没が見えるのでほぼ島の真南、やや南南東向きであると思われます。今回の場所は日の出の描写があり、それがあの入り江そのものならば、ほぼ西向きということになりますね。
境界線(22巻89話)
今回の入り江
まぁ、だからどうしたという、”境界線”そのものではないという程度の話ですけど。
・未知との邂逅
諸々の感情込みで浮足立ってるハンジが面白かったです。ハンジがギャグをやるのも久しぶりですね。一時期はかなりシリアスになってましたから。
・調査船団
この時、ジークに送り込まれたイェレナとオニャンコポンら「反マーレ派義勇兵」がパラディ島に合流し、情報や技術などの供与が始まりました。兵団の新型立体起動の小銃は、マーレのものをベースに作られていたようです。送り込まれた義勇兵は4名と考えて良いでしょう。またその後の調査船は、第2次調査船団と同様に彼らと巨人の力で拿捕したと見て良さそうですので、パラディ島には多数の捕虜とおよそ20~30隻前後の船がある可能性が高いですね。
さて、4名の義勇兵が最初の調査船に乗っていたということは、やはりマーレ軍内のそれなりに権力のあるポジションまで反マーレ派が食い込んでいる、と見て良いでしょう。普通に考えれば、エルディア人であるジークにそんな権限が与えられるとは思えません。始祖奪還作戦の際は、マガトですら人選の発言権はありませんでした。あの時は、マガトより上の人物の意向だったわけです。奪還作戦と調査船団の人選をそのまま比べることはできませんが、同様の誰かが裏で暗躍していた可能性は高いと言えるでしょう。以前、カルヴィ元帥にあやしい点があるという考察をしました。もし彼であれば納得ですが、確証はありません。その是非に関わらず、複数の反乱分子が軍内にいるであろうことはマガトにより示唆されている通りです。マーレ軍の要職につく人物はマーレ人か、マーレ人と偽っている人間しかあり得ないでしょうから、反マーレ派義勇軍にはそのような仲間がいることになります。そういった組織ですから、イェレナも同様の可能性は十分にありますね。もちろん、オニャンコポンにも可能性はあります。
・義勇兵
イェレナは兵団が夜明けに外にいられることから、無垢巨人を全滅したと推測しました。かなり頭の切れる人物と見て良さそうです。と同時に、あくまで警戒を怠らないリヴァイはさすがですね。後のジークとのシーンでも同様です。
-期待以上だ
謎です。彼女たちが兵団(パラディ島)に期待する役割とは?
負けじとハンジも勘の良いところを見せます。港のシーンも同様でした。
さて、この一連のジークに繋げる話が、真実かどうかはわかりませんが、実際にマーレに対抗する手立ても無く、戦う気概が薄れていっていたとすると、あのカルヴィ元帥の表情に繋がる気がします。最期に”希望”であるエレン巨人を見て、自分が同胞の犠牲のもとに築き上げた地位を役に立てることができた、と感慨にふけっていたのではないかなと思います。
このシーンを見る限りでは、イェレナもオニャンコポンも、被支配地域の民ということになりますが、イェレナにはエルディア人疑惑がありますので、それを隠していることになるかもしれません。文脈としてはエルディア人も被支配者ですので、言ってないだけとも言えますが。
・秘策
エルディア人の問題を一挙に解決し、世界が救われる秘策です。その秘策は明かされていません。協力関係に最大の目的を明かさないというのは、値踏みをされないためやマウントを取るためとも考えられますが、それを事前に知ったら相手が拒否する可能性が高いこと、というケースも考えられます。
会議でのエレンの発言によって、パラディ側の認識は「秘策=地鳴らし」だということになっています。ここは重要だと思います。エレンは、元々自分が”推測”していた始祖と王家巨人の接触というキーワードにひっかかったため「地鳴らし」だと思い込んでいますが、これはあくまで”推測”の域を出ていません。こうしてキーワードを当てはめて自分の都合の良いように解釈することを人間はよくやります。いわばこれはエレンの願望でもあります。彼は海外の敵に対するにあたって、地鳴らしが必要だと強く思っているということです。個人的に今までは無いと思っていたのですが、地鳴らしが発動する展開が起こるかもしれませんね。
話を戻しますが、これはジークの思惑と一致していない可能性があります。多分、していないと思います。にも関わらず、パラディ島でこの”推測”が事実のようになってしまいました。そしてそれが齟齬の一因になってしまっています。もしこれが誤解だったとしたら、何ともやりきれない話ですね。
・サシャの想い
会議中に、サシャがコニーを気にかける様子が分かりやすく描かれています。最初はジークの名前が出た後、次はラガコ村の話の時です。仲間を気遣うというのはもちろんですが、年頃やこれまでの関係性を考えても異性的な感情が入っていると考えるのは自然だと思います。それだけだったら良いんですけど。
作者はこういった目線芸とでもいいますか、さりげない感情描写をよくやるのは周知のことと思います。ただ、このように2回続けて、しつこく分かりやすく描くことは無かったように思います。つまり…大事ですよね。次の記事で取り上げます。
・超大型
やはり鼻と耳が無く、首の骨がむき出しでしたので、爆発の影響ではなくアルミンの形質ですね。
・続 未知との邂逅
港の建設、初めて食べる海鮮料理と、兵団が新しいものを体験していく様子がギャグを交えて描かれています。サシャのことがあった直後ですので、癒しでもあるわけですが・・・しつこいくらいに描写されていくシーンのどこにも、エレンを見つけることはできません。
-巨人になる人間「ユミルの民」も同じさ
-俺達は皆 求められたから存在する
このセリフはとても大事なように思います。単純に、世界の真理として受け取ってもキレイな言葉ですが、おそらく、巨人も求められたから存在するのだと思います。
その後、イェレナのたしなめるような(?)視線にあわてて言い繕うようなオニャンコポン。キーワードはどうも”神”のようです。
・凶弾
話し合って分かり合える、それがアルミンの思い描く希望ですよね。
それを厳しい視線で見つめるエレン。
そのエレンの放つ銃弾がサシャを殺すかのような描写。
アルミンにとって、サシャが死んだのはエレンの行為、あるいは選択によるもの、ということでしょう。
・別離
貝殻はアルミンにとって夢と自由の象徴です。そして・・
このシーンはエレンが出奔した際の置手紙を読んでいるのでしょうか。イェレナが見当たらないので、一緒に渡航したのかもしれませんね。一番右の人物がオニャンコポンそっくりなのですが、肌が白いので・・塗り忘れ?
・アニ
友人との壁を感じたアルミンは、アニに縋ります。アルミンは今回の襲撃で、アニとシンクロする立場になりました。敵の立場を知った上で、異なる道を模索しようとするも、それでも前に進むしかないエレン(ライナー)に突き上げられて「仕方なく」戦いに身を投じました。アルミンはそのことを知っているのかもしれません。それは記憶を見たからなのか、あるいは察している感じなのかもしれませんが。
水晶体のアニは、髪の毛が伸びていませんので代謝が進んでおらず、いわばコールドスリープのような状態なんでしょうか。寿命への影響が気になりますね。
・思惑
-戦勝…と報じたわけか
-恐ろしいね 何も知らないってのは
ジークにはまだパラディ島に知らせていないことがあってのこの発言です。イェレナ達にも裏がありそうな描写がされています。ここでも警戒を緩めることのない兵長はさすがです。揺るぎない。そこに慇懃無礼でやり返すジーク、本当に分かり合えるのでしょうか。
ところで、リヴァイがジークの祖父祖母の話を持ち出していますので、やはりジークの作戦は家族の身を案じたものだったことが分かりました。奪還作戦の再開を提案したのも、自分がパラディ島に行く腹積もりだったのでしょう。それがタイバー家の動きにより、前回のように巨人だけで潜入する形ではなくなりそうだったので、作戦を切り替えたと思われます。いずれにせよ、死亡した、または敵地で行方不明になった、という既成事実を残したかったわけですね。ピークちゃんの気付きのため先行き不安ですが、まだジークは知らないことです。
・ガビとファルコ
ひとまず収監されました。彼らも「分かり合う」方向へ向かうのでしょうか。ガビは今までの観念が全て壊されるようなことを立て続けに体験した後、期せずして熟考の時間を得ました。
・ミカサ
-勝てなきゃ死ぬ…
-勝てば…生きる
勝ったけど死にました。サシャの墓に寄り添いながらあの言葉をつぶやくミカサは、揺らぎながら、何より大事なものを必死で繋ぎとめようとしているのでしょうか・・
・エレン
-戦わなければ勝てない
-戦え 戦え
壁がガビファルコの牢屋と同様なので、やはり収監はされていると思います。鏡に映る自分にあの言葉を言いきかせるかのように繰り返しています。自己洗脳、あるいは刷り込み、といったところでしょうか。もはや強迫観念のようにエレンは前へ進み続けるのかもしれません。
髪型を後ろで束ねたエレンは、サイドの落ち方も以前のガビとそっくりです。対してガビは以前のエレンの髪型とかぶるようになっています。つまり、髪型が入れ替わっています。この表現は何を意味するのでしょうか(26巻105話、24巻98話、26巻106話)
憶測でしかないですが、エレンをパラディの象徴、ガビをレベリオの象徴と仮定して、現状で入れ替わったものは、被害者と加害者という立場、かもしれません。
本日もご覧いただき、ありがとうございました。
written: 10th June 2018
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