進撃の巨人を読み解く

進撃の巨人はSFを下敷きにしたヒューマンドラマだ・・と思う

076 最新話からの考察 117話 天地無用ノコト

 

みなさんこんにちは。

 

最新、というには今さらすぎますが・・そろそろ残念な時期に突入すると思うので、要点だけ簡潔に走り書きしておきます。

 

 


この記事は最新話である117話までのネタバレを含んでおります。さらに登場人物や現象についての言及などなど、あなたの読みたくないものが含まれている可能性があります。また、単なる個人による考察であり、これを読む読まないはあなた自身に委ねられています。その点を踏まえて、自己責任にて悔いのないご選択をしていただけますよう切にお願い申し上げます。あなたの選択とその結果に対して、当方は一切の責を負うものではありません。

※画像は全て 「進撃の巨人(諌山創著 講談社刊)」 より引用させていただき、個別に巻・話を表示しております。注記の無いものは全て117話からのものです。

 

 

 

 

 

 

 

 


[天地無用ノコト]

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一気に戦端が開かれましたが、やはりエレンはかなり強くなっていましたね。遠距離からの対巨人砲で窮地には陥りましたが、それまでは鎧と顎の2体を相手にほぼ完封しています。鎧とは殴り合っているように見えてエレンはほとんどまともに攻撃を受けていません。ダメージがあるのか分かりませんが、顎に背中のトゲを折られたくらい(戦闘シーンの画像は省略しますが、読み返していただければ分かると思います。)

しかも顎に対しては”一度も”振り向くことなく全て対処しています。「オレはライナーと殴り合ってんだからお前は眼中にない」ってことでしょうか。ポルコかわいそう。

 

 

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「戦って生きる」というメッセージでしょうか。自らの生き様でまさに「戦って生きる」を体現しているように思います。そもそも、(26巻104話)

 

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-…どうして お前らは…
-俺を… 死なせてくれないんだ…

彼に死ぬのを思いとどまらせたのはエレンですからね(26巻104話)

 

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-ライナー またな

また”生きて”会おうと言ってるわけですから、彼が来たからには逃げるわけにはいかないでしょう。

 戦え
 戦え
 勝てば生きる
 戦わなければ勝てない

かつて自分を引っ張り上げてくれたライナーに、そして罪悪感で「死にたい」とまで言うようになってしまったライナーに、今度はエレンが手を差し伸べているのかもしれません。そうじゃねぇだろ、ただ進み続ける、それしかねぇだろって(24巻97話)

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逃げるのではなく戦え、そして勝てば生きるだけだ。罪悪感に逃げるな、死に逃げるな、と。

 

 

 

 

さて、今後への予備知識をいくつか箇条書きで。

 

 

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-…始まったんだ
-巨人達が…
-動き出した

現時点では、104期や無垢巨人予備軍の人たちは”地ならしの実験”が始まったと思っているようです。とはいえ、

 

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-このままじゃ食われる!!(ダッ)

オニャンコが多分行くでしょうから、すぐにマーレが攻めてきたことを知るでしょう(オニャンコはこの後イェレナたちと一緒に描かれていませんから、現在は建物内を単独行動中と考えられます。)

アルミンはイェレナを騙しているにせよ、本当に感動したにせよ、さすがにマーレが攻めてきたとあっては戦わざるを得ないと思うのですが、ここで彼が再びマーレと”交渉”をしようとするのかは興味があります。マーレが安楽死計画を知るのはアルミンの口からだったりしないかな。

 

 

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-エレン…
-あなたは他の人と違う…
-あなたは特別…

これも包囲網でしょうか。

 

 

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ジークとしてはまず長距離砲である車力をなんとかしないといけないと思いますが、彼の”お兄ちゃん力”が試されるところですね。次回が楽しみです。

 

あ、エレンの表情でしたっけ。

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私は普通に驚き、安堵といった感じで捉えています。むしろ今回でさらにジークに”寄った”可能性もあるかもしれないなと。わかりませんけど。

 

 

あと細かいなぁと思ったのは、パラディの兵士たちは旧型の立体機動装置で出陣していた為に、マーレ兵に不利な戦いを強いられているわけですね。

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もちろん彼らの仮想敵がピークちゃんという「巨人」だったからです。ブレードと2本ずつの雷槍しか装備していない彼らにとって、マーレ兵の持つ銃やライフルは想定外の脅威なわけです。

 

 

 


さて、最後に「断罪」に関してなのですが。

 

断罪とは「ある人がある人の罪と罰を決定する」といった感じですよね。

以前どこかの記事で書きましたが、この世界に罪や罰の絶対的な物差しはありませんから、罪だの罰だのはあくまで誰かの胸先三寸で決まるだけです。今回マガトが言っているように、パラディ側がしたレベリオ襲撃の罪に対して、彼らは「始祖(エレン)を食う」という罰を確定させました。

マーレの考える正義に照らして、エレンやパラディの行為は罪に該当し、食われて始祖を奪われる罰がその罪に値すると言っているわけです。もちろんそんなものはマーレ側の都合でしかありません。とはいえレベリオ襲撃の”被害者”がそう決めたということです。

 

これに関連して気になっているのですが、かつて106話の考察で私はこんな推測をしました(26巻105話、24巻98話、26巻106話)

 

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エレンとガビの髪型の入れ替わりについて、考えられるとすれば加害者と被害者の立場の逆転を表現しているのではないか、と。

 

もちろん今なお推測でしかなく、その通りであるかは分かりませんが、今回で巨人の中のエレンの髪がほどけていて、ガビは少し前から髪を結わえています。

前回の副題は「天地」でした。そして明らかにレベリオ戦と対照するかのように、今度はマーレが”天”から攻めてきてパラディが”地”から見上げる形になっています。そもそも「天地」って言葉自体に”ひっくり返るもの”というニュアンスを個人的には感じますが、やっぱり立場がひっくり返ったように思うんです。

つまり、どんな大義名分があろうがどんな正義を振りかざして断罪をしようが、マーレが最初の一撃を放った瞬間、パラディは再び被害者になったはずです。するとどうなるかというと、再びパラディはマーレを断罪する立場になったとも言えるわけです。この繰り返しこそが負の連鎖のなんたるかということかもしれません。

 

エレンの考えがどこまで至っているかは分かりませんが、

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-マーレ軍に こんな馬鹿な真似させたのは

「馬鹿な真似」とはもしかしたらそういうことかもしれません。

 

 

 


-おまけ-

 

ちなみにガビなんですが、エレンとは髪型でかぶせられており、またアルミンとも似たようなセリフでかぶらせていたようにも見えます(24巻98話、26巻106話)

 

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-きっとエルディア人を世界の人に
-理解してもらうためでしょ
-私達は悪魔じゃありませんって

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-マーレや世界中の人と話し合って
-誤解を解けば…
-僕達は怖くないって


そして現在の髪型が以前のものに戻らずに結わえる形になっているのは、おそらくこのあたりの人たちに重ねてきてるんじゃないかと推測しています(29巻115話、27巻108話、10巻40話)

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まぁ結わえてるだけなのでピークちゃんもそうなんですけどね。そういえばあのミカサの髪型は、ユミルに重ねてる感じでしたよね。

たぶんですが、「母」になりつつある途中ってことなんじゃないかなと思います。ぼかすようですみませんが、長くなるので詳しくは別の記事にて。

 


そういえば今期のアニメのオープニング、最初から獣の投石とか雷槍とかネタバレしてて少し意外でした。進撃と鎧が戦うみたいなのもありましたけど、全体的に実際の展開とは異なる描写がほとんどだと思っていたので。でもさすが面白いなと思ったのは、エルヴィンと「こちらを見ている兵士達」のところ、展開を知ってから見るとエルヴィンも一緒に「こちらを見ている」感じですね。

 

-おまけおわり-

 

 

 

本日もご覧いただきありがとうございました。


written: 4th Jun 2019
updated: none